2021 Fiscal Year Research-status Report
すべり剛体ブロック連成モデルによる斜面の地震時脆弱性の広域的評価手法の構築
Project/Area Number |
21K04235
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小野 祐輔 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00346082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 勝宣 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (60640901)
和田 孝志 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (60832996)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地震 / 地すべり / 斜面崩壊 / 剛体ブロック |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績を要約すると次の(1)から(4)にまとめられる. (1)これまで地震に対する斜面の安定計算に広く用いられてきたNewmarkの滑りブロックモデルは,斜面に沿った上下方向の地震入力に対する剛体ブロックの応答を求める一次元解析モデルである.本研究では,このモデルを三次元応答モデルに拡張した.三次元応答に拡張したモデルを用いた分析により,斜面に沿った水平方向の地震動成分がブロックの滑り距離の算定に強く影響する場合があることが分かった.(2)過去の地震による斜面崩壊の特徴を明らかにし,被災事例のGISデータの整理を実施した.(3)崩壊前の斜面の構造と崩壊後の堆積状況の関係を詳細に分析するためにカラーサンドを用いた斜面崩壊に関する模型実験を実施した.画像解析を利用して実験結果を整理することで,斜面部の崩壊過程と土砂堆積状況の関係の一端を明らかにした.(4)複数の谷筋での土石流流動(複数の1次元解析)と,谷底平野や扇状地での土石流・洪水流複合氾濫(2次元解析)を同一時間軸で解析するモデルを構築し,平成23年和歌山県那智川流域での同時多発的土石流災害に適用し,解析結果と実績浸水深との比較から構築モデルの妥当性を確認した.また,構築モデルを用いた土石流・洪水流複合氾濫時の避難方策検討を行い,その有用性も確認した.加えて,構築モデルに組み入れる崩壊土砂流動に関する2次元解析モデルに関する文献のレビュー,ソースコードの取得を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において令和3年度の実施項目として次の(1)から(6)までを見込んでいた.(1)すべり剛体ブロックモデルの3次元地震入力への拡張,(2)過去の被災事例のGISデータの整理,(3)すべり剛体ブロック連成モデルの開発,(4)過去の被災事例のGISデータの整理,(5)流動土の合流過程の模型実験,(6)流動土の合流過程の粒子法による数値解析. これらの項目の中で(1)から(4)までは予定通り研究を実施することができた.(5)については複数の谷筋を崩壊土が流下し合流する過程の実験は実施できていない.しかし,予備実験としてカラーサンドを使った斜面崩壊実験を実施することができた.(6)については,粒子法解析の実施は実施できていないものの,解析結果の妥当性を分析するために不可欠なデータを準備することができた. 以上のように,計画していた全6項目のうち4項目で想定通り実施できたため,概ね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に示した研究計画に従って,以下の(1)から(5)の項目を実施する. (1)3次元地震入力を考慮したすべり剛体ブロック連成モデルの開発,(2)すべり剛体ブロック連成モデルの3次元地震動入力への拡張,(3)過去の被災事例のGISデータの整理,(4)すべり剛体ブロック連成モデルによる流動土の発生過程と土石流流下モデルとの統合モデルの考案.(5)流動土の合流過程の模型実験. (1)を実施するための前段階である単独の三次元滑り剛体ブロックモデルの構築は,前年度に開発した三次元すべり剛体ブロックモデルの拡張として実施する.(2)は前年度に開発した三次元すべり剛体ブロックモデルを用いた分析を多数の地震記録波形に対して実施し,地震時地すべりの広域評価に供する統計モデルの構築を行う.(3)は前年度に引き続き,文献調査を行う.(4)では,前年度中の実施を予定していて完了できなかった粒子法解析を実施する.さらに,複数の谷筋での土石流流動(複数の1次元解析)と谷底平野や扇状地での土石流・洪水流複合氾濫(2次元解析)を同一時間軸で解析するモデルに崩壊土砂流動モデルを組み入れ,小規模渓流側方からの崩壊土砂流入による短時間河道閉塞現象の再現を試みる.(5)は前年度中の実施を予定していながら完了していない項目であり,今年度に遅れて実施する.実験の実施の準備は予備実験も含めて整っており,供試体を作成で来次第,実験を実施する.
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