2021 Fiscal Year Research-status Report
内部膨張起因の微細損傷が部材耐荷性能低下に与える影響とその載荷速度依存性の解明
Project/Area Number |
21K04236
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
玉井 宏樹 九州大学, 工学研究院, 助教 (20509632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 大介 大分工業高等専門学校, 都市・環境工学科, 准教授 (40398095)
櫨原 弘貴 福岡大学, 工学部, 准教授 (70580182)
別府 万寿博 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (90532797)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内部膨張 / アルカリシリカ反応 / コンクリート / メゾスケールモデル / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,内部膨張によるひび割れなどの微細損傷の載荷速度依存性を明らかにし,有限要素法(FEM)やラティスモデルを用いて微細損傷を考慮したコンクリートの高精細数値解析モデルを構築し,最終的に,鉄筋腐食・ASR・それらの複合劣化が生じたRC梁部材の静的及び衝撃荷重下の耐荷性能や破壊挙動を定量評価することである。以上の目的を達成するために,現在までに,(1)骨材の促進膨張試験による内部損傷状態の異なる供試体の製作,(2)内部損傷の定量評価に向けたX線CT撮影,(3)FEMに基づくメゾスケールモデルの構築とそれによる解析(基礎検討)を実施した。それぞれの成果について以下に記す。 (1)骨材の促進膨張試験による内部損傷状態の異なる供試体の製作:反応性骨材を用いたコンクリート円柱供試体を多数制作し,養生方法及び養生温度を工夫することで,早期の促進膨張を実現し,表面平均膨張量として,ほぼ膨張していない供試体,約2000μを達成した供試体,約4000μを達成した供試体の製作に成功した。これらを用いて,次年度前半で,載荷速度をパラメータとした急速載荷実験を実施予定であり,その準備が完了した。 (2)内部損傷の定量評価に向けたX線CT撮影:(1)で製作した供試体の切り出し片を用いて,X線CT撮影を実施した。その結果,各断面における骨材膨張に伴う内部ひび割れの撮影・出力に成功した。今後,それらの結果を用いて,ひび割れ密度などを定量化することと,内部ひび割れの3次元可視化を実施予定である。 (3)FEMに基づくメゾスケールモデルの構築とそれによる解析(基礎検討):FEMに基づき,モルタルと粗骨材の2フェーズから成るメゾスケールモデルを2次元,3次元で構築し,その妥当性を確認した。また,湿気移動解析と応力解析を連成させることで水分に伴う膨張などの影響を考慮した解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では,今年度は,内部損傷を有するコンクリート円柱供試体の製作,高精度計測による表面ひび割れや内部ひび割れの定量化,さらにFEMに基づくメゾスケールモデルの構築とそれによる解析ツールの整備であった。既に研究実績の概要に示している通り,総合的には概ね順調に進展していると言える。それぞれの項目に関する具体的な進捗状況は以下の通りである。 (1)内部損傷を有するコンクリート円柱供試体の製作:反応性骨材を用いたコンクリート円柱供試体を多数制作し,養生方法及び養生温度を工夫することで,早期の促進膨張を実現し,表面平均膨張量として,ほぼ膨張していない供試体,約2000μを達成した供試体,約4000μを達成した供試体の製作に成功した。これに関しては順調に進んでいる。 (2)高精度計測による表面ひび割れや内部ひび割れの定量化:(1)で製作した供試体の切り出し片を用いて,X線CT撮影を実施した。その結果,各断面における骨材膨張に伴う内部ひび割れの撮影・出力に成功した。しかし,表面ひび割れや内部ひび割れの定量化までは至っていないため,本件,現在得られている撮影結果をもとに次年度以降に検討する必要があるため,若干遅れていると言える。 (3)FEMに基づくメゾスケールモデルの構築とそれによる解析(基礎検討):FEMに基づき,モルタルと粗骨材の2フェーズから成るメゾスケールモデルを2次元,3次元で構築した。また,その妥当性についても確認した。今年度の当初予定では,(1)で示す円柱供試体の載荷試験のシミュレーションまでを考えていたが,載荷実験自体がコロナ等の影響で次年度前期に実施することになったため,それについては次年度に検討することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえ,今後(特に次年度)については下記内容に注力し,研究を推進していく予定である。 (1)高精度観察結果を踏まえた内部損傷の定量化:表面ひび割れや内部ひび割れ密度を観察結果から定量化し関連付けることが必要である。 (2)円柱供試体の圧縮試験の実施:内部損傷程度及び載荷速度をパラメータとした円柱供試体の圧縮試験を実施し,内部損傷が動的耐荷性能に与える影響について検討する。 (3)RC梁供試体の製作:ASRと鉄筋腐食の複合劣化を模擬したRC梁供試体を製作する。 (4)解析モデルの高度化:ひび割れ後の水分移動などを考慮したメゾスケール解析モデルの開発など,引き続き,解析モデルの高度化を図る必要がある。
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Causes of Carryover |
採択時の助成金総額が申請時点よりも減額されたこと,半導体不足に伴う購入物品の調達が困難になったことから,計画段階で購入予定にしていた高速度カメラの購入を断念せざるを得なくなった。そのため,次年度使用額が生じた。なお,高速度カメラを購入せずに現有のもので対応することに変更し,この次年度使用額については,RC梁製作費に充てることとした。
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Research Products
(8 results)