2021 Fiscal Year Research-status Report
大損傷RC柱のローテク・ローコスト・スモールチェンジな新規耐震補強法の開発
Project/Area Number |
21K04244
|
Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
金田 一男 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (50793907)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 幸造 琉球大学, 工学部, 教授 (80347129)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 既存ピロティ建物 / 大地震 / 耐震補強 / 鋼板サンドイッチ工法 / 損傷RC柱 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度では、有明高専にて「PC鋼棒で緊結した鋼板サンドイッチ工法により補強した中心圧縮実験」と「損傷試験体の一定軸力下の正負繰り返し水平載荷実験」を行った。中心圧縮実験は計8体の試験体(うち補強しない試験体4体、補強した試験体4体(袖壁長さ88mm))を計画し、実施した。補強しない中心圧縮試験体の断面は150×150mmと175×175mmの2ケースとした。その結果、補強しない試験体と比較し、補強試験体の最大軸力が約1.4倍増大した。従って、ここで提案した鋼板サンドイッチ工法により補強した既存RC柱の水平耐力の向上のみではなく、軸方向支持能力の向上もできることが分かった。 正負繰り返し水平載荷実験は計4体の異なる損傷試験体(実物の約1/3モデル)について行った。その結果、補強後のRC柱試験体の初期水平剛性が3倍以上大きくなり、最大耐力が2.6~3.3倍増大し、最大耐力後の耐力低下が僅かであり、変形能力も大きく増大したことが分かった。従って、ここで提案した鋼板サンドイッチ工法は、大地震により大きく損傷したRC柱の耐震補強に応用できることを示唆した。 琉球大学では、実物の約1/2モデルの試験体(柱断面:250×250mm、高さ750mm)を計画し、正負繰り返し水平載荷実験によって損傷(損傷レベルIV)を与えた。その後、コの字型の鋼板を用いた鋼板サンドイッチ工法により損傷したRC柱を補強し、片側袖壁付の補強試験体(袖壁長さ138、188mm)を用意した。載荷実験の結果、補強後のRC柱試験体の耐力が1.6~2.0倍増大し、変形能力も大きく増大したことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展している理由を以下示す。 (1)鋼板サンドイッチ工法により補強したRC柱の中心圧縮実験を新たに計画し、実施した。その結果、基準試験体と比較し、補強したRC柱の軸方向支持能力が1.4倍程度向上できることが分かった。また、最大軸力後の耐力低下が少ないことも分かった。その成果を査読論文へ投稿した。 (2)4体の損傷度レベルII~VのRC柱に対して、鋼板サンドイッチ工法を適用し、補強後のRC柱試験体の一定軸力下(軸力比η=0.2)の繰り返し載荷実験を行った。その結果、補強後のRC柱試験体の初期水平剛性が3倍以上大きくなり、最大耐力が2.6~3.3倍増大し、最大耐力後の耐力低下が僅かであり、変形能力も大きく増大したことが分かった。その成果を査読論文へ投稿した。 (3)琉球大学では、研究担当者中田教授によって、計画通りに損傷レベルIV(ひび割れ幅4.0~4.5mm)の1/2モデルのRC柱試験体に対して、PC鋼棒及び鋼板を用いてサンドイッチ的補強した試験体(2体)の載荷実験を行った。その結果、補強後のRC柱試験体の耐力が1.6~2.0倍増大し、変形能力も大きく増大したことが分かった。現在、実験結果の整理・分析を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえ、2022年度では以下の研究を行い、既に実験準備を着手している。 (1)損傷したRC柱(4体)に対して、鋼板サンドイッチ工法を適用し、中心圧縮実験を行い、その時の軸方向支持能力を確認する。その結果と2021年度の実験結果と比較し、論文にとりまとめる。 (2)健全RC柱試験体2体及び損傷RC柱試験体2体に対して、鋼板サンドイッチ工法を適用し、補強する方向と直交する方向(面外方向)に載荷し、補強RC柱試験体の面外方向における耐震性能を調べる。その結果と2021年度の実験結果と比較し、論文にとりまとめる。 (3)琉球大学では、構造実験室の修繕工事により、2022年度に予定した実験計画は実施できなくなった。そのために、2021年度の研究成果を先にとりまとめ、2022年度中に論文投稿を行う。なお,2022年度に計画した実験的研究を2023年度に変更させて頂く。
|
Causes of Carryover |
2021年度は、コロナの影響で琉球大学での載荷実験及び打ち合わせに1回しか参加できず、学会がすべて中止となり、旅費の使用ができなかった。2021年度に生じた残額は、2022年度の研究目的、計画を遂行するために、慎重に活用させて頂く予定である。その中で、当初計画にはなかったが、使用しているパソコンとプリンターの老朽化に伴う故障が生じ、研究用のデスクトップパソコン1台とプリンター1台を購入させて頂く予定である。
|