2023 Fiscal Year Annual Research Report
地盤改良による沿岸中層建物の耐津波補強工法の開発・検証に繋がる杭の引抜き試験
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21K04245
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
河又 洋介 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 主任研究員 (90740994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 博志 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (20328561)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 建物の津波耐力 / 液状化 / 杭基礎 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度の実施項目を以下に示す。1)令和4年度に実施した杭の引抜き試験結果の詳細分析,2)追加引抜き試験の実験の実施と実験結果の整理,3)津波避難ビルおよび能登半島地震被災地の実地踏査。 1)では,昨年度に実施した杭の引抜き試験結果を詳細に分析することにより,地震により液状化が発生するまでの間隙水圧蓄積過程,過剰間隙水圧が上載圧と同等まで上昇して,完全に地盤が液状化した完全液状化状態,地震が終了してから過剰間隙水圧が完全に消散するまでの間隙水圧消散期間の一連の流れにおいて,杭の引抜き抵抗の変化傾向を把握するためには,一部条件におけるデータが欠損していることが明らかとなった。そのため,研究計画を見直し,当初予定していた数値解析の実施を保留して,2) 追加の引抜き試験を実施,その結果を整理した。また,令和4年度実験では保留としていた貫入試験・水平応力計測を実施,より詳細なデータを得た。また,3)では,津波避難ビルとして指定されている建物に対して,適用可能な対策工法を検討するため,静岡県沿岸地域を実地踏査した。また,津波避難ビルに指定されている建物と同等の建物が,液状化によりどのような被害を受ける可能性があるのかを確認するため,能登半島地震において,顕著な液状化被害が確認されている地域の調査を行った。 本補助事業の3年間の成果として,地震発生から液状化状態終了後までの各段階で,杭の引抜き抵抗を明らかにした。杭の引抜き抵抗は,周辺地盤の過剰間隙水圧比に比例するという一般的な考え方と異なる傾向を示すことを明らかとなるなど,大きな成果が得られた。令和3年度および5年度の実験計画・結果を基に,地盤工学会,地震工学シンポジウムに5本の論文を投稿,そのうち4本は口頭発表済みである。また,3年間の研究成果をとりまとめた論文を執筆中であり,近日中に投稿する予定である。
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