2021 Fiscal Year Research-status Report
礫質な河川堤防の内部浸食発生・進行メカニズムとそれに起因した破壊現象の可能性評価
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21K04252
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
神谷 浩二 岐阜大学, 工学部, 教授 (50252119)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 河川堤防 / 内部浸食 / 礫質土 / 浸透破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,礫質土層を多く含む土層構成の河川堤防を対象に,礫質土層特有の間隙構造の観点から,内部浸食の形態の種類とそのメカニズムならびに破壊現象との関係を明らかにして,内部浸食に伴う土の破壊現象の可能性の簡易的判定手法を見出すものである.2021年度には,内部浸食に影響する礫質土層の間隙構造の特性を解明するため,粗粒材料を対象に,従来の空気圧入法や水分法による間隙径分布の測定やX線CTスキャンの画像解析による間隙構造の定量化に基づき,粒度等による間隙径分布への影響や間隙構造の特徴を分析した.CT画像解析では,小さめ土粒子群による間隙構造に対比して,その粒子群に比較的大きめの土粒子が少数個で点在した場合では間隙部分の大きさやその分布にはほとんど差がみられず,大きめの土粒子の増加に伴い間隙部分が大きくなる特徴を確認した.次に,空気圧入法や水分法による間隙径分布では,CTによる間隙径分布に比べると,小さめの間隙径の評価が困難であり,2割程度の間隙量の部分が表現されなかった.そして,水分法による間隙径分布は,その評価可能な最小値としての最小間隙径より大きい範囲において,CTによる間隙径分布と非常に類似するようなものであり,水分法では三次元空間の間隙構造を反映した間隙径分布を表現していると考えられた.一方,CTによる間隙径分布をフィルター理論によって修正したときの間隙径分布は,空気圧入法による間隙径分布に類似する傾向にあった.これらの結果を踏まえ,空気圧入法による最小間隙径は,流体透過を検討するのに有用であるとみられ,間隙構造の表現指標の一つとして位置付けられることを明らかにした.この最小間隙径は粒度の平均粒径(面積平均径)の3割程度の大きさにあるという相関関係にあった.以上のように,間隙構造の特性について知見が得られ,これに基づき内部浸食の機構解明等を検討する予定とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2021年度~2023年度の3年間で遂行するものであり,初年度に内部浸食に影響する礫質土層の間隙構造の特性の解明,2・3年目に内部浸食の発生・進行形態の分類と破壊現象との関係の究明,粒度等を指標にした破壊現象の発生可能性の判定簡易手法の開発を行うものである.上述のように,初年度には間隙構造の特性について基礎的検討を実施し有用な知見が得られていて,研究は順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の2022年度は,河川堤防を模擬した模型地盤に対する室内実験に基づいて内部浸食の現象理解を進めるとともに,室内透水試験によって内部浸食の発生・進行形態の分類と破壊現象との関係を主に究明する計画である.更には,初年度に得られた間隙構造に関する知見を基に,内部浸食の機構を解釈しながら,内部浸食の形態に応じた破壊現象の可能性とその判定手法の開発に繋ぐ予定である.
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Causes of Carryover |
本研究2年目に実施する模型実験や透水試験にかかわるセンサー類等の消耗品費の一部に充てる計画である.
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Research Products
(2 results)