2021 Fiscal Year Research-status Report
Development and verification of groundwater cut-off technology using field-generated soil directly to enable zero emissions
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21K04254
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小松 満 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (50325081)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地下水 / 止水技術 / 注入材 / 現地土 / 懸濁液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,(1)懸濁液中の細粒分の粒度の調整方法,(2)透水係数の低減率,(3)注入範囲と流亡状況,を設定し,止水技術の効果を評価する室内試験を実施することを目的とし,初年度である令和3年度は,上記の(1)および(2)に着手した。 (1)注入材の作製(現地発生土の粒度調整):現場試料から粒径5~7μmの土粒子を抽出する方法として,ストークスの法則を用いた沈降時間の推定による2段階の抽出方法を示した。実際に細粒分のみの懸濁液を作製した結果,粒径幅は広いものの,平均粒径が5~7μmで質量配合比が0.25程度の懸濁液を抽出できることが示唆された。なお,現場試料の細粒分含有率が低い場合は,懸濁液抽出前に粉砕処理を行うことで,効率良く細粒分を抽出することができる。それぞれの試料で3回の抽出を行い,粒度試験を実施したが概ね同じ結果が得られ,抽出方法の再現性を確認した。また,抽出した懸濁液の粘度は透水性低減効果を示す粘度よりも低い値を示したことから,天然材料であるベントナイトを添加することで目標の粘度に調整することが可能となった。 (2)水平一次元通水下での注入実験:まさ土及び川砂から採取した細粒分から作成した懸濁液を用い,細粒分を除去したそれぞれの試料から作製した供試体に圧力注入したところ,細粒分を除去する前の元の試料から作成した供試体が示す透水係数よりも数オーダー低い値を示したことから,高い注入効果を確認した。なお,注入において,グラウタビリティー比による注入可否を検討した結果からはいずれも注入可となり,実験結果と整合した。さらに,粘性を考慮した多粒子限界流速式を用いて粒子が移動し始める限界流速を推定することで,供試体内の実流速の挙動を説明することが可能であり,間隙内に注入した細粒分の移動は懸濁液の粒子径と粘度が要因であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に設定した計画では,1)注入材の作製の完了と2)水平一次元通水下での注入実験での効果確認を目標にしており,当初計画以上の検討を実施して良好な実験結果を得ることができた。ただし,実験ケースが多く,年度末まで掛かったため,年度末に投稿予定の論文原稿の作成が遅れていることから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元通水下での注入実験と注入範囲算定理論の構築:研究室で所有する回転式二次元土槽を用いて断面および平面での注入実験を行い,流速と注入範囲の関係を明らかにする。なお,亀裂性岩盤を対象とした理論式による注入範囲と坑道採掘半径の関係の既往の研究による算出方法を参考に,未固結地盤への適用は未知であることから,注入材料の特性と注入圧力・注入量から注入範囲を算定できる理論式を構築する。
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