2021 Fiscal Year Research-status Report
寒冷地河川河口周辺の海岸に堆積するジュエリーアイスの出現時期推定手法の開発
Project/Area Number |
21K04267
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 泰弘 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50414149)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 寒冷地河川 / ジュエリーアイス / 河氷 / 出現時期推定 / 観光 / 河口 / 海岸 / 結氷河川 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,冬期に結氷する寒冷地河川とその周辺の海域・海岸において,河氷に着目した詳細な現地観測を実施し,現地観測結果に基づき現象を定式化し,これらの式を統合してジュエリーアイスの出現時期推定手法を開発することである.今年度の実績は以下となる.
・2021年度に定点カメラを含む現地観測を実施した. ・当初,河氷の形成,破壊,輸送,堆積の4つの現象に着目して研究を進めていたが,現地観測結果より,堆積後にジュエリーアイスが気温上昇により融解する現象が見られた.このため「融解」現象を考慮する必要性が明確となった. ・形成についての課題は,十勝川河口周辺の氷板厚の実測値が得られていないことであった.2021年度の現地観測により,十勝河口周辺の氷板厚の実測値を得た. ・輸送についての課題は,河氷が河川から海岸まで輸送される過程が明らかになっていないことであった.2021年度の現地観測により,GPSを搭載した氷模型によって輸送過程を観測することが出来た. ・融解については,融解期間を設定することで,ジュエリーアイスの融解を表現することが出来た.しかし,より実現象に即した表現が求められる. ・2020年の大津海岸で撮影した写真に基づき画像解析を実施し,ジュエリーアイスの堆積面積を算出して出現時期を明らかにした. ・簡易的な出現時期推定手法を開発し,計算値と画像解析による堆積面積を比較し,計算値は現地状況を概ね再現可能であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,おおむねの当初計画していた研究項目を実施しており順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初,河氷の形成・破壊・輸送・堆積の4つの現象に着目して研究を進めていたが,現地観測結果より,堆積後にジュエリーアイスが気温上昇により融解する現象が見られた.このため「融解」現象を考慮する必要性が明確となった.今後,「融解」に関する実験及び定式化に取り組む. 「輸送」についてはGPSによる河川から海岸までの軌跡を測定することが出来たため,このデータの解析と定式化を試みる. 大津海岸で撮影した写真に基づき画像解析を実施し,ジュエリーアイスの堆積面積を算出して出現時期を明らかにした.しかし,画像解析には時間を要することから,深層学習を用いた堆積面積の算出が望まれる. 簡易的な出現時期推定手法を開発した.入力値は気象データ(気温,風向,風速,潮位)である.一方で, 計算結果の精度を向上させるためには,このモデルの破壊される氷板の縦断的な大きさ,時間差による堆積等を検討する必要があることが分かった.
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Causes of Carryover |
観測機器の設置・撤去の費用の支出を見込んでいたが,協力企業の支援により実施して頂いた.協力企業との打合せは対面を想定したが,オンラインでの実施となった.これらの理由により使用額に変更が生じた.
2021年度の研究結果により,新たな検討項目が挙がったので,これらの研究の進展の為に助成金を使用する.
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