2023 Fiscal Year Annual Research Report
任意曲面を有する流路の流れと地形変化予測に関する高度計算技術の開発
Project/Area Number |
21K04272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
音田 慎一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50402970)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地形変化 / 予測モデル / 一般座標系 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,豪雨災害が激甚化する中で,洪水流が河床や河岸を構成する多量の土砂を侵食し,河床や流路が大きく変動する現象が確認されている.災害リスクが高くなってきている中で,地形変化に関する精度の高い予測を行うためには,氾濫流の非定常的な挙動と,地形変化をもたらす河岸,河床近傍の流れと土砂輸送特性を取り扱うことのできるモデルの構築が必要である.その際,実際の河川では曲線形状を有していることから河道に沿った一般座標系を用いることが有用であると考えられる. そこで本研究では,申請者が開発してきた表面流と浸透流を同時に予測できるデカルト座標系での3次元流体解析モデル,土砂輸送モデルを河道に沿った一般座標系に拡張し,水際・河床近傍の複雑な流れの3次元性と土砂輸送特性を考慮することで,曲線形状を有する流路の流れと地形変化を予測できる新たな計算力学的アプローチを構築する. まず,一般座標系に拡張した3次元流体解析モデルを用いて,湾曲水路の側壁に堰を設置した場合の横越流現象に関する数値解析を行い,堰の高さに伴う3次元的な流れ構造の違いについて考察した.次に,表面流と浸透流を同時に予測できるように流れのモデルを発展させ,多孔質媒体中,および多孔質床上のダム破壊流れ,サクションを伴う開水路流れ,湾曲水路における河床変動後の開水路流れに適用し,水面形や主流速と2次流の複雑な鉛直分布形を概ね再現できることを示した.最後に,一般座標系での土砂輸送モデルを組み合わせ,連続蛇行水路における河床変動解析を行い,外岸側での土砂の侵食,内岸側での砂州の形成を再現した.また,正面越流による堤防の侵食過程の数値解析を行い,デカルト座標系での既往の数値解析結果より天端近傍の侵食特性を再現することを示した.さらに,河岸侵食を伴う流路変動現象にも適用し,モデルの妥当性を検証した.
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