2021 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化マップを用いた前線系気象場と台風系気象場の分類と防災情報提供への応用
Project/Area Number |
21K04275
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
朝位 孝二 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70202570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 浩司 九州大学, 工学研究院, 助教 (20264070)
白水 元 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (60808210)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己組織化マップ / 台風 / 予測気象場 / JRA55 |
Outline of Annual Research Achievements |
気象庁が提供するJRA55の再解析気象データを用いて,台風場に着目した気象場分類を行った.東経120度から145度,北緯5度から37.5度の範囲を気象場の抽出範囲とした.JRA55は1.25度間隔であるため,この領域内の567の地点上の気象要素で気象場を表す.気象要素は地表面の風速(東西方向成分と南北方向成分)と地上気圧を用いた.1958年から2020年までの台風時期(7月1日~10月31日,一日6時間間隔)の気象場データを分類した.データ総数は30,996個である.種々の検討により,自己組織化マップ(SOM)のマップサイズは横方向に28ユニット,縦方向に32ユニット,ユニット総数は896個の2次元マップとした.グループ数は50個とした. SOM作成で使用したデータ期間において日本に上陸したすべての台風(総数は176個)について,上陸時刻に最も近い時刻におけるユニット・グループを抽出し,その傾向を調べた.その結果,ユニットの観点ではU281(G13)(グループ13に属するユニット281を意味する.)が最も頻度が多く18回であった.続いてU894(G49)の15回,U893の10回であった.一方,グループの観点ではG49(59回),G13(29回),G48(11回)であった. G49に属する代表的な台風としては9918号(U894G49)が挙げられる.一方G13に属する代表的な台風が伊勢湾台風(U281G13)や台風1919号(U253G13)である.G49は九州などの西日本に上陸した台風,G13は中部地方や関東地方などの東日本に上陸した台風に分類されていることが分かった. MSMやGCMなどの予測気象場の分類がこのSOMを用いて行うことが可能である.気象場の対象範囲が広いため台風の発生期から,過去の台風場との類似性を検討することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度当初に立てた研究計画を概ね完了している.
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Strategy for Future Research Activity |
前線系の気象場のSOMを7月中に完成させる.同時にMSMやGCMのような数値予報の結果を開発したSOM上に分類するシステムを構築する.開発したシステムを用いて,類似した過去の気象場情報の提供が住民の防災行動に及ぼす効果の予備的調査を実施する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍が予想に反して長引いているため,学会等の参加や共同研究者との対面での打ち合わせができなかったことが主要因である.また研究の遂行においてデータ整理などの謝金を支払う状況にはならなかったことも要因である.2022年度は2021年度の研究成果を社会実装していくためのシステム作成で謝金を使用する予定である.またコロナ感染に十分に注意をして,情報収取や研究打ち合わせのための出張も行うことにしている.
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