2021 Fiscal Year Research-status Report
遡上津波波圧による沿岸域構造物群の破壊過程に関する研究
Project/Area Number |
21K04278
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
長山 昭夫 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (40621438)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智行 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20452609)
柳川 竜一 香川高等専門学校, 建設環境工学科, 准教授 (70649095)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 遡上津波波圧 / 共通化接続インターフェイス / OpenFOAM / OpenModelica / Co-simulation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は遡上津波波圧による沿岸域構造物群の破壊過程を解明しようとするものである。この目的達成のために流体解析で用いられる有限体積法と構造解析で使用されている有限要素法を組み合わせ、共通化接続インターフェイスFMIを基盤とした連成計算手法を構築する。本研究実施計画は以下に示すように3つに区分してた。 (1)遡上津波の流動場の評価(a)FMI環境構築と計算精度の検証:計算環境構築では計算機サーバーを複数台使用し、サーバー間の双方向通信を制御することで連成計算を実行する計画とした。計算精度の検証はOpenFOAMで実装されているCo-simulation機能を利用し、流体解析ソルバと構造解析ソルバを弱連成させた計算結果とFMIによる計算結果とを比較した。また構造解析ソルバのでるOpenModelicaを使用し、解析結果のデータベースを構築した。(b)遡上津波の内部流動の検討:大型造波平面水槽を利用して地震津波を想定した遡上津波の模型実験を行った。先行研究結果を元に遡上津波の内部流動を遡上流速、浸水深、波力、内部流速に分類し検討を行った。 (2)構造物への作用力の評価:(c)単体構造物への作用波圧の検討:先行研究の遡上津波波圧測定結果を元に、L1津波が遡上した場合の単体構造物への作用波圧を模型実験で検討を行った。(d) 間口を有する構造物への作用波圧の検討:構造物壁面間口の有無で構造物への作用波圧が変動し、特に浮力に関しては間口の全くない構造物と比べて著しく変動することがわかった。 (3)構造物群の耐久力の評価:(e)構造物群の破壊の検討:先行研究の円柱構造物群への遡上津波波圧測定結果より、規則配置されたRC構造物の倒壊現象について検討を行った。(f)構造物群の残存率の検討:沿岸市街地を想定した構造物群を対象に、L1津波が遡上した場合の倒壊を含む残存率の推定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)遡上津波の流動場の評価(a)FMI環境構築と計算精度の検証:複数の計算機サーバーの双方向通信を制御することで連成計算を実行を予定していたが、通信ソケット、演算CPUの指定等の環境構築に時間を費やした。またOpenFOAMでの計算モデルの構築については経験済であるため、順調に作業が実施できた。またOpenModelicaにおけるモデルの試作については単純な物理モデルを作成したのみで計算結果の精度検証は出来なかった。(b)遡上津波の内部流動の検討:大型造波平面水槽を利用した遡上津波の模型実験についてはこれまでのデータ蓄積があるため、順調に計画を遂行できた。また押し波から引き波までの区間における波圧特性について整理した。 (2)構造物への作用力の評価:(c)単体構造物への作用波圧の検討:沖波の条件が単体構造物への作用波圧に与える影響について検討を行い、構物壁面への作用波力について従来の提案モデルでどの程度推算可能かについて検討した。(d) 間口を有する構造物への作用波圧の検討:構造物模型に作用する浮力については、構造物の形状が大きく影響し、従来の静水圧における浮力の推算式では大きな誤差を有することを確認した。 (3)構造物群の耐久力の評価:(e)構造物群の破壊の検討:規則配置されたRC構造物の倒壊現象について検討を行ったが、実験条件の不備により検討可能なデータが取得できなかった。来年度は実験方法について再検討を行う。 (f)構造物群の残存率の検討:GISを使用し、防波堤形状が背面地域に立地している構造物群の破壊または残存に関してまとめた。以上を総合し、進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
【数値実験について】 (1)遡上津波の流動場の評価(a)FMI環境構築と計算精度の検証:環境構築に時間を費やしたため計算結果のデータベース化が十分に検討でいなかったため、来年度は集中してデータベース化を図る。
【模型実験について】 (3)構造物群の耐久力の評価:(e)構造物群の破壊の検討:規則配置されたRC構造物の倒壊現象について検討を行ったが、実験条件の不備により検討可能なデータが取得できなかった。来年度は実験方法について再検討を行う。
|
Causes of Carryover |
論文登録料や学会参加費の振替申請と請求に関して年度を超えての作業が発生したことにより予算に残金が発生した。 また残金の使用計画は、論文投稿料、学会参加費に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)