2021 Fiscal Year Research-status Report
急勾配な水路式魚道における魚類の遡上率向上のための方策
Project/Area Number |
21K04280
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
青木 宗之 東洋大学, 理工学部, 准教授 (00712853)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水路式魚道 / 急勾配 / 粗度群 / ウグイ / 遡上率 / 遊泳行動 / 簡易魚道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,急勾配である水路式魚道においても,魚類が遡上できるような流況を作り出すことである.これまで,魚ののぼりやすい川づくりの手引きでは,水路式魚道の縦断勾配を1/20以下にすることが推奨されている.一方で,魚道延長が十分に確保できない箇所,特に中小河川では,その条件を満たすことが困難なときもある.実際に,縦断勾配が1/20よりも急な水路式魚道も存在しているため,より急勾配な条件での水路式魚道について検討することは重要である.そのため,本研究では水深を確保し流速を緩和することを考え,粗度要素として円柱を利活用する.そこで本研究では,主として水理実験(流速および水深の計測)と実魚を用いた挙動実験(流れに対する魚の遊泳行動の観察)を実施し,縦断勾配が急な水路式魚道でも魚類が遡上できるような手段を見出し,魚類等にとって効率的な魚道を計画することを目指す. 令和3年度では,主として水理実験(流速および水深の計測)と実魚を用いた挙動実験(流れに対するウグイの遊泳行動の観察)を実験室にて実施した.水路式魚道の粗度要素には直径5cmほどの円柱を使用し,まずは等間隔に配置したが,水深確保が困難であり,ウグイの遊泳が困難な状況であった.そこで,粗度群を形成し,「く」の字に設置した結果,急勾配な水路式魚道においてもウグイが無理なく遡上できることを確認した.そのため,粗度要素の配置の方向性を見い出すことができたと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初に,円柱を等間隔に配置した状態(整列配置や千鳥配置)で実験を行った結果,水深確保が難しく,ウグイが遊泳できるような極端な流速の低減効果はなく,ウグイが魚道を遡上することが困難であったことを確認した.そこで,円柱を群体(くの字)として設置し,凹凸部を設けた.その結果,最初の状態よりもウグイの遡上率を向上させることができた.このケースでは,凸部を上流あるいは下流に向けた状態の2パターンで実験を行ったが,凸部を下流に向けたケースのほうが,塞き上げ効果も高く,ウグイの遡上率をより向上させることができた. そのため,急勾配な水路式魚道においても容易に魚類が遡上できるような粗度要素の配置の方向性について,見い出せたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本実験結果を適用できるようなフィールドについても見通しがついている.当該箇所は,30cm程度の落差が多く存在している小規模な水路であり,現地住民から魚道の設置が望まれている状況である. 今後は,魚道面積に対する粗度要素の割合を見出し,魚道機能が低下しないような状態を模索していく予定である.そのためにも,魚道の水理学的機能の検討を十分に行い,魚類の遊泳行動特性を確認していく予定である.
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Causes of Carryover |
1年目の予定執行額に対して,24,007円のみの残であり,概ね予定通り執行させて頂いたと考えている.2年目においても予定通りに予算執行をさせて頂く予定である. 2年目は,主に滋賀県での現地実験のための旅費や実験室にて使用する実験魚(ウグイなど)の購入,実験装置作製のための木材等の購入,論文投稿のための諸経費などで執行する予定である.
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Research Products
(1 results)