2021 Fiscal Year Research-status Report
縦渦構造の吸込み操作による流れ場の特徴の解明と摩擦抵抗軽減の試み
Project/Area Number |
21K04283
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Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 勝利 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 教授 (00191750)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複断面開水路 / 吸い込み操作 / 縦渦構造 / 流れの可視化 / 斜昇流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,壁乱流において縦渦構造の形成領域を集中させ,その吸込み操作に伴う流れ場の特徴を明らかにすることである.そして,その知見を踏まえて流れの摩擦抵抗軽減を試みることにある.この目的のために本研究では以下の3つの課題を遂行する. ①複断面開水路流れにおいて,高水敷先端部に集中して形成される縦渦構造を吸込み操作によって消滅あるいは減衰させることが可能か否かを検討する.可能である場合には吸込み操作に伴う主流速や二次流等の分布の変化を明らかにする. ②底壁面に流れ方向に並列した複数の桟型粗度を設置した開水路において,桟粗度上に集中して形成される縦渦構造を吸込み,縦渦構造の発達を抑制することが可能か否かを検討する.可能であれば吸込み操作によって境界層の発達が抑制されていることを実証する. ③船舶模型を作成し,その底面に流れ方向に吸込み機能を有する桟型粗度を設置し,縦渦構造の吸い込み操作を行う.吸込み操作が流れの摩擦抵抗軽減にどの程度寄与するかを明らかにする. 本研究では,上記の目的および課題に基づいて初年度において複断面開水路流れにおいて高水敷の先端部に吸い込み機能を付加し,その吸い込み操作に伴う流れ場の特徴を検討した.高水敷の吸い込み機能の作成にはかなり時間と労力を費やした.実験では,PTV(Particle Tracking Velocimetry)を用いた流速計測と流れの可視化を行った.実験の結果,吸い込み操作を行うことによって,高水敷先端部に形成される斜昇流と時針,反時針の対を成す旋回流が消失することが明らかとなった.また,乱れの大きさも吸い込み操作によって減少することが認められた.さらに,流れの可視化からは,吸い込み操作によって,高水敷先端部に形成される縦渦構造の形成が,間欠的となり,それが流れ場の変化の原因であることが推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように,初年の目標を達成することができた.しかし,吸い込み操作の最適性については今後さらに解明が必要と思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果から吸い込み操作によって縦渦構造が間欠的となりそれが,二次流れの消失や乱れの抑制につながることが明らかになった.これを踏まえて本年度は底壁面に桟型粗度を有する開水路流れにおいて,その粗度に吸い込み機能を付加し,それの吸い込み操作に伴う流れ場の変化特性を究明する.
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Causes of Carryover |
物品費に関してはより安価なものを選択したため,予定額より少なくなった.次年度は繰り越し分を模型作成に充てたい.
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