2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on evaluation of sustainable urban structure considering heterogeneous household and interaction between local area
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21K04290
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥嶋 政嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20345797)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 立地誘導政策 / 交通サービス水準 / テレワーク / 生活行動 / 余暇活動 / 居住地選好 / 都市構造 / 人口分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.対象都市圏を徳島広域都市圏とし,交通システムを含む都市構造の現状を把握するとともに,その問題点を整理した.現状の年齢層別人口分布に基づいて,現状推移型シナリオとして将来の人口構成を推計した.また,対象都市圏における持続可能な都市構造の実現に向けた段階的な都市政策シナリオについて多面的に評価するために,交通利便性,温室効果ガス排出量の削減,災害リスクの低減,維持管理費用の削減について,時間軸を考慮した評価指標の計測方法を整理した. 2.災害リスクを考慮した土地利用規制,立地誘導政策,都市交通政策,テレワーク促進政策の相互補完的な役割を整理した.これに基づき,立地誘導政策による都市施設分布および事業所分布,都市交通政策による交通ネットワーク条件および交通サービス水準,テレワーク促進政策による勤務活動制約の緩和条件を具体的に検討した.また,各種政策を組み合わせた段階的な都市政策シナリオの構成を具体的に検討した. 3.地方圏における転居予定者を対象とした居住地選好調査データを用いて,立地誘導政策,都市交通政策に対する居住地選好特性を把握し,交通利便性,災害リスク,生活環境および地価など居住地選好に関わる各種要因を特定した. 4.地方圏におけるテレワークの促進可能性と生活行動への影響の把握を目的として,徳島県およびその周辺4県の通勤者を対象に,テレワークによる生活行動変化に関するアンケート調査を実施した.この調査結果データを用いて,テレワークによる交通行動変化および付加的活動での時間利用の変化について整理した.また,テレワーク利用意向および付加的活動に関わる要因について分析した. 5.交通ネットワークシミュレーションモデルと統合した生活行動モデルについて,対象都市圏における現況再現性についても検証し,道路交通における交通渋滞,旅行時間などの推計を可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象都市圏における都市構造の現状把握,将来人口構成の推計および評価指標の計測方法の整理については,予定通りに実行できた.各種政策の補完的な役割の整理,その条件の具体的検討およびそれらを組み合わせたシナリオの構成についても,予定通りに実行できた. 研究計画調書作成時には次年度以降に実施予定としていたテレワークによる生活行動変化に関するアンケート調査を実施している.これは,次年度にテレワークによる生活行動モデルの構築を開始するためには,アンケート調査の実施および基本的な分析を初年度に完了しておく必要があったためである. 一方,都市活動シミュレーションモデルのサブモデルについては,対象都市圏における生活行動モデルの現況再現性については検証できている.ただし,世帯特性と地域間交流を考慮して,生活行動モデルの再構成することを次年度に実施する必要がある.また,居住地選好に関わる各種要因を特定できているが,テレワーク促進政策に対する居住地選好特性を把握することも課題として残されている.
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Strategy for Future Research Activity |
1.テレワーク促進政策に対する交通行動変化および付加的活動での時間利用の変化を推計可能とするために,テレワーク利用意向モデルおよびテレワーク利用による付加的活動モデルを構築する.これらのモデルを生活行動モデルに統合することで,テレワーク利用を含む1日単位での生活行動を推計可能とする. 2.世帯特性と地域間交流を考慮して,携帯端末位置情報データを用いて生活行動モデルを再構成することにより,対象都市圏における適用を可能とする.交通ネットワークシミュレーションモデルと統合して,道路交通における交通渋滞,旅行時間,温室効果ガス排出量などの推計を可能とする. 3.世帯特性および地域間交流を含む社会的ネットワークを考慮した居住地選好モデルを構築する.ここで世帯の異質性を表現するために階層ベイズモデルを適用する.都市政策シナリオに対する居住地選好の結果として,人口分布の推移を推計可能とする.このとき,人口分布の推移に対する地価の変動を推計可能とする. 4.居住選好モデルと生活行動・交通ネットワークシミュレーションモデルを統合して,都市活動シミュレーションモデルを構成する.居住地選好による人口分布と段階的な都市政策シナリオを更新することで,将来に至る持続可能性評価を可能とする.各種政策を組み合わせた段階的な都市政策シナリオについて,都市活動シミュレーションモデルよる複数ケースについての推計結果から,持続可能性の評価指標を多面的に比較評価する.これより,対象都市圏における都市政策シナリオの適切な組み合わせを特定する.
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Causes of Carryover |
物品費として「高速計算処理用コンピュータ」を計上していたが,仕様の細部を調整の結果として発注時期が遅れ,2021年度内の納品が間に合わなくなった.2021年度には高速計算処理が必要なシミュレーション計算を実行予定がなかったため,研究の進捗には支障は出ていない.2022年度の早期に,高速計算処理用コンピュータを購入する予定としている. 2021年度には,研究発表および情報収集のために参加を予定していた研究発表会がすべてオンラインでの会議となったため,旅費を使用する機会が得られなかった.研究発表会にはオンラインで参加しているので,研究の進捗には支障は出ていない.2022年度以降には,研究発表会への参加および研究発表を増やして,旅費を使用する予定である.
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Research Products
(7 results)