2021 Fiscal Year Research-status Report
フレームに着目した主観的地域活力を育むインフラコミュニケーションのあり方
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21K04303
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 春菜 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00582644)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 主観的地域活力 / インフラコミュニケーション / 地域意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会基盤(インフラ)整備時のコミュニケーションの方法によって、住民のインフラに対する態度やインフラ整備がもつ住民の心理への影響に及ぼされる効果に着目し、より効果的なコミュニケーションの方法を検討するものである。多くのインフラ整備が地域の活力向上を目途として行われているものの、現状では居住者から地域の活力を向上すると認識されていないと懸念される。本研究では、整備時のコミュニケーションに用いる「フレーム」に着目して効果的なコミュニケーションの方法を理論的・実践的に検討し、インフラが「あって当たり前」でなく、「自らの地域のために活用していく資産」であるという態度形成を促すことを試みる。 研究初年度である2021年度は、【1. インフラ整備時のコミュニケーションに用いる フレーム の実態の把握】【2. インフラコミュニケーションに用いるフレームの理論的検討】に取り組んだ。 まず、インフラ整備時のコミュニケーションについて事例を調査し、現在行われているコミュニケーションの実態とその内容を調査し、どのような「フレーム」が用いられているか把握した。本研究では、「中国地方」の「道路事業」を対象として事例を収集した。最近の24事業について事業計画時の調査票等のコミュニケーションツールを収集し、実施されてきたコミュニケーションの内容を整理した。その結果、調査が実施されるようになった当時と比較すると、最近では「課題解消フレーム」が減少し、「将来目的フレーム」が多用される傾向が確認された。しかしながら、地域レベルの言及に留まっており、国土レベルの課題や将来目的などに言及する必要が考えられた。以上の調査結果をもとに、主観的活力・地域愛着の向上を企図したフレームの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、初年度は事例収集と既往研究の整理を行う予定であった。概ね計画の通り進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
主観的活力・地域愛着の向上を企図したフレームを検討し、現在用いられているフレームと検討したフレームが心理尺度にどのような影響を及ぼすか、アンケート調査を実施してフレーミング効果を検討する。調査のフレームの再現の適切性等を把握するため、プレ調査を行った後に本調査を実施する。 また、初年度に実施した現状把握において、現状の調査票やチラシが視覚的にわかりづらく、将来目的などのメッセージが伝わらない可能性も指摘された。このため、交通計画や路線図等の作成に携わった経験を有するデザイナーと協議し、インフラコミュニケーションのデザインの変更案を作成し、デザインの改善による効果とフレームの変更による効果を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、打ち合わせ等がオンラインになるなど、旅費が減少したため。当該理由で生じた余剰分は、次年度に再度打ち合わせを実施し、使用する予定である。
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