2021 Fiscal Year Research-status Report
立地適正化計画を考慮した駐車場配置適正化のための評価方法に関する研究
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21K04305
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小早川 悟 日本大学, 理工学部, 教授 (70277383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部井 優也 日本大学, 理工学部, 助手 (40875689)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 駐車場 / 立地適正化計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、路外駐車場の整備が推進されてきた結果として駐車需要に対して駐車容量に余剰が生じ始めているなかで、今後人口が減少していく際に必要となる駐車場の隔地設置や集約に関するための方法論を確立することを目的としている。 現在まで、現状の駐車場の利用者実態を把握し、その結果を用いて駐車場の選択行動モデルの構築を行うことを実施している。このモデルの構築には、アンケート調査と各駐車場の利用実態(入庫時間や駐車時間等)のデータを用いて、駐車料金や目的地までの徒歩距離等をパラメータに駐車場選択行動モデルの構築を行っており、モデルの再現性については検証に耐えうる程度の精度があることが確認できた。 さらに、これらから実施予定であるシミュレーションのシナリオ作成については、国土交通省が示している駐車場立地適正化のためのイメージを参考に、駅付近にある駐車場を移動させるシナリオ、まちの中心街にある駐車場を外周部に位置する駐車場に集約するシナリオ、まちの中心街にある駐車場を残しつつ複数の駐車場を組合せて集約するシナリオ、地区内をブロックに分割してブロック毎に駐車場を集約するシナリオの4つパターンのシナリオが作成できている。今後は、前年度作成した駐車場選択モデルを用いて、設定した4つのシナリオでシミュレーション分析を行うことで、駐車場配置適正化後の駐車場までの徒歩距離と地区内の走行距離の変化を分析し、駐車場の隔地設置や集約に関するための方法論を確立する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、駐車場選択モデル作成のための駐車場利用実態の分析結果とロジットモデルの作成は終了している。このロジットモデルについては、駐車場までの徒歩距離と駐車場の支払い料金に加え、その他に影響を与える要因として駐車場の利用目的を説明変数として加えている。そして、この駐車場選択モデルを用いた精度検証も実施している。 さらに、料金の変動による感度分析についても検証を実施している。ただし、これらの感度分析については、料金設定の仕方により結果が異なってくることから、適切な設定方法についての検証を引き続き行っている。 また、駐車場集約のシナリオについても、駐車場集約化(配置適正化)のための4つのシナリオも作成終了している。そのうえで、この4つのシナリオ毎に駐車場集約化(配置適正化)のいくつかの集約パターンも細かく設定している。 以上のような結果より、当初の計画通り、おおむね進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、すでに作成した駐車場選択モデルを用いて、駐車場集約化(配置適正化)のためのシナリオ毎に駐車場を集約した際の利用者の徒歩距離の変化と地区内を走行する車両の移動距離の変化の評価方法を検討していく予定である。その結果をもとに、どのような駐車場の集約化あるいは配置が都市にとって適正であるのかを検討していくための方法論を作成していく予定である。 具体的には、シナリオ毎に各駐車場から最終目的までのドライバーの総徒歩距離の変化と車両が駐車場へ入庫するまでの経路を算出した地区内の車両移動距離の変化の2つの評価指標を用いて駐車場集約化の影響分析を行う予定である。各駐車場から最終目的地までのドライバーの総徒歩距離の変化の分析では、利用者が集約前と集約後に利用する駐車場から目的地までの徒歩距離を算出し、集約後の徒歩距離の増減率を算出することで駐車場利用者の利便性の評価を行う予定である。一方、まちづくりの観点からみると地区内を通行する自動車を減少させることで、地域の交通環境改善や歩行者空間確保の推進が可能になってくる。そこで、駐車場集約後の地区内交通への影響を把握するために、大規模小売店舗立地法の方向別自動車台数の算出方法をもとに車両の駐車場までの通行経路および利用台数を算出し、集約後の地区内を走行する車両の総走行距離の増減率を算出することで地区内交通への影響評価を行う予定である。最終的にはこの2つの評価指標を用いて、利用者の利便性への影響を最小にしつつ、地区内を走行する車両を減少させるような集約化の方法論と評価手法を提案する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、駐車場利用実態の詳細調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大も影響して、大規模な調査を実施することができなかった。さらに、学会等への参加についても、ほとんどの学会がオンラインでの開催となったため、旅費の使用ができなかった。そのため、次年度については、追加の調査を実施することや学会への参加のための経費に充てることにしたい。
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