2022 Fiscal Year Research-status Report
Verification of Collision Prone Model under Mixed Traffic in India and Thailand
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21K04306
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石坂 哲宏 日本大学, 理工学部, 准教授 (60453908)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多車種混合交通 / Uターン / 交錯・衝突危険性指標 / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題(1)「ベースとなる深層学習手法とその改良」に関しては、一対多の関係から走行安定性指標を定義・提案して、多車種混合交通の交通状態を表現することができた。インド・アーメダバードのパルディ交差点を上空から撮影したドローンの映像を解析した。交差点へ流入する交通に対して、車種ごとの最小車間距離を進行方向(縦方向)と横方向で実際に観測して算出した。この空間を走行に必要な最小限の空間として捉え、それ以外の空間(走行可能領域)が発生することによって、錯綜現象が発生しているとして捉えて分析を行った。走行可能領域を考慮して、交差点の飽和交通流率を算出した結果、各サイクルの算出結果のばらつきが少なくなり、安定した値を示せることが分かった。よって、このような一対多の関係から得られる空間を考慮して、走行状態を把握することの有効性を示せた。 研究課題(2)「Uターンの交錯・衝突危険性指標の定量化」に関して、1秒間隔で変化する衝突危険性指標を定義・提案して、画像解析によりUターン開始時点の危険性に関して、分析を行った。タイ・ナコンラチャシマーのUターンを上空から撮影したドローンの映像を解析した。これまでのPET,TTCの指標に、時々刻々と変化する走行速度に実際に取ることができる減速挙動を適用して、Uターン開始時点での衝突危険性を算出した。実際の減速を考慮した衝突安全指標は値が改善している場合が見られたがこれは対向車が減速したためであり、Uターン車両はその危険性を認識できずに走行開始した可能性が高い。よって、Uターンの開始判断タイミングで衝突の危険性が高い場合にもUターンを始めてしまっているケースが見られた。本手法によりこのような状態を抽出することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)と(2)の成果より、交錯・衝突危険性指標に関連する要因として、どのような形で画像を分析して、事象を抽出すればよいかが分かった。(3)に関しては既存のドローン映像に適用することはもとより、ドローン映像の追加取得や他の事故映像CADPデータセットなどを用いて、学習の強化を図ることが今後必要になるといえる。本年度で交錯・衝突危険性指標に関連する要因を抽出できたので、3年目に(3)の深層学習の強化を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題(1)「ベースとなる深層学習手法とその改良」に関しては、これまでのソーシャルフォースモデルでは、一対多の車両間の相互作用を前提に構築してきたが、走行の安全に必要な空間とそれ以外の空間を定義できたことによって、実際の走行に対して安全か安全でないかの判断を加えることができるといえる。この判断をモデルの学習の中に含めることによって、ソーシャルフォースモデルで算出される指標(衝突を避けるために維持する希望距離の標準偏差、及び衝突を避けるために反応した時の距離の標準偏差)に意味づけができるかどうかを検討することとする。本課題の2022年度の成果は、東アジア交通学会2023に投稿したので、学会での発表を通して、広く成果を周知するとともに意見交換を基にモデルの改良を進めていく予定である。 研究課題(2)「Uターンの交錯・衝突危険性指標の定量化」に関して、当初の研究目標は達成していると概ね判断している。タイでUターン挙動のサンプルを増やすために、タイでの現地調査を改めて実施する予定である。加えて、3年目の課題であった国際会議への投稿を中心に研究を進めていく予定である。 研究課題(3)「CADPデータセットを用いた学習の強化」に関して、映像データの選定、関連する交錯・衝突危険性指標の抽出が行えるかを判断することとする。そのうえで、(1)のモデルが汎用的に適用できるかを確認することとする。 研究課題(4)「インド混合交通への適用」に関しては、これまで構築してきた交錯・衝突危険性指標とソーシャルフォースモデルをインドの混合交通へ適用することとする。既に取得したアーメダバードのドローン映像に適用する。インドの混合交通への適用結果を中心に国際学会での論文投稿の準備を進めていくことする。インドで行われる第6回CTRGへの論文投稿を行ったので、その発表を通して適用の妥当性に関して意見交換する予定である。
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Causes of Carryover |
研究課題(1)に関する成果をインドの交通関連グループが主催する国際会議(CTRG)への投稿を行ったが、発表が採択されなかったため、旅費の支出が生じなかった。本論文に関しては、研究論文としての推敲を行い、また、本年度の研究成果を加えて、2023年に行われる東アジア交通学会に論文投稿を行ったので、学会参加・発表の旅費として使用を計画している。
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