2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel water treatment process based on algal bloom removal
Project/Area Number |
21K04311
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
天野 佳正 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40517976)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アオコ / ミクロキスティス / 細胞外多糖類 / カチオン / 群体形成 / 光照射 / 浮揚性制御 / 水処理技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は,浄水処理効率の低下を引き起こすアオコ(ミクロキスティス)の除去方法の開発を目的とするものである。当該年度では主に,ミクロキスティスの群体形成に寄与する強結合性細胞外多糖類(tightly-bound extracellular polysaccharides; TB-EPS)をミクロキスティス細胞から単離し,その化学組成や成分について検討した。 2021年の7月から10月の間,茨城県の千波湖で発生したアオコ(主にミクロキスティス)を採取し,NaCl・温水法によってミクロキスティス細胞からTB-EPSを単離し,凍結乾燥して粉末試料とした。このTB-EPSの表面官能基を熱重量示差熱分析装置およびフーリエ変換赤外分光光度計によって調べたところ,主にカルボキシ基が存在していることがわかり,この結果はTB-EPSの元素分析(C, H, N, O)結果で示された高い酸素含有量(O = 48%)からも裏付けられた。また,100 mg/Lに調整したTB-EPS水溶液中のCOD,TNおよびTP濃度を測定したところ,それぞれ45 mg/L,6.8 mg/Lおよび2.2 mg/Lとなり,比較的高い有機物を含有していることが見出された。他方,光照射の有無とミクロキスティスの細胞密度との関係を調べるための予備実験も行った。その結果,ミクロキスティスの細胞密度は,暗条件で培養することで減少することが示唆された。 以上のように,当該年度ではミクロキスティスの除去方法を開発する上で重要な役割を果たすTB-EPSの化学組成・成分について検討した。今後は,光照射制限の下,培養液中のTB-EPSやカチオン濃度制御が,ミクロキスティスの群体形成と浮揚性に及ぼす影響について詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では,アオコの代表種であるミクロキスティスに焦点をあて,その除去方法を確立することを目的とする。当該年度において,ミクロキスティス細胞から単離したTB-EPSの表面官能基や元素組成を明らかにし,さらに粘度測定や全糖分析も行っているところである。これらの情報を基に,ミクロキスティスの群体形成を促すTB-EPSの最適添加量を決定する。さらに当該年度において,ミクロキスティスの細胞密度は光照射条件で培養するよりも暗条件で培養することで,より減少することを見出した。この結果を基に,次年度はバラストの役割をもつ細胞内炭水化物(おもり)との関係を見出すとともに,ミクロキスティスの浮揚性が向上する光条件や,群体形成を引き起こすTB-EPSおよびカチオン濃度条件を見出す予定である。 以上の研究結果は,国内外の学術論文や学会発表を通じて社会に情報発信した。また,次年度は共同研究先のテネシー工科大学(米国)に大学院生を派遣し,実験データの解析やデータの補充,情報収集等,研究の推進を図る予定である。以上のことから,本研究の達成度は一定以上のレベルに達しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,主に(1)TB-EPSの化学分析,(2)ミクロキスティスの群体形成・浮揚性制御,を検討する。(1)については,TB-EPSの構成糖(単糖類)やタンパク質の定量を行い,ミクロキスティスの群体形成との関係を見出す。また(2)に関して,光照射を実験パラメータとし,ミクロキスティスの細胞密度と細胞内炭水化物量(バラスト)の関係を調べ,浮揚性が高まる実験条件を検討する予定である。
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