2021 Fiscal Year Research-status Report
遊休能力の活用・創出による地方域の環境インフラのエコ転換モデルの構築
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21K04314
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉田 登 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60263224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 祐吾 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30379127)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遊休能力 / ごみ処理 / 中継施設 / バイオガス化 / 協働化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「遊休能力の活用・創出による地方域の環境インフラのエコ転換モデルの構築」の初年度である2021年度には,ごみ焼却処理を対象とした遊休能力活用プロトタイプのモデル化を研究計画に掲げている.具体的には,地域での連携を意図した,施設集約検討ブロック内の複数の中小規模ごみ焼却施設を対象に遊休能力活用によるケーススタディを行い,効果の分析評価を目指すものである.ケーススタディの対象として,紀の川流域を対象に,単なる従来の広域化ブロックの集約化を超えて,既存処理施設の改修に伴い生じる,既存施設のごみピットの遊休能力を活用して中継施設への機能転換を図り,バイオガス化施設の導入を組み合わせつつ,ブロック内市町が互いに連携し協働する,広域・協働化シナリオを提案し,そのGHG削減効果と事業性を評価した.対象地域は3つの広域化ブロックとして構成され,広域化計画で定められた施設集約を図る場合のほか,計画された広域化ブロック単位を越えて市町が連携する越境シナリオを設定し,それぞれに対応するエネルギー回収方策の技術選択と連携を考慮したシナリオを構築して,それによるGHG削減効果と事業性をもとに遊休能力活用モデルのプロトタイプを評価した.分析の結果,それぞれの主体が廃棄物処理の拠点にバイオガス化施設と中継施設を導入したうえで,広域化ブロック内外の発電効率が高いごみ焼却施設で廃棄物を集中処理する協働体制を構築させることが重要であり,そうした構築が実現した場合にはGHG削減効果と事業性を向上させることを定量的に明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,ごみ焼却処理施設での遊休能力活用モデルのプロトタイプ開発を目標として掲げている.研究実績の概要で示したとおり,研究計画に記載した対象地域である,和歌山県の紀の川流域を対象に,流域内の各ごみ焼却施設における廃棄物搬入量,処理余力,施設更新計画について調査した.特に脱炭素化への社会的要請をふまえて,既存処理施設の改修に伴い生じる,既存施設のごみピットの遊休能力を活用して中継施設への機能転換を図り,バイオガス化施設の導入をはかる,バイオガス化施設と中継施設の導入に着目した遊休能力活用モデルのプロトタイプ開発を目指し,ごみ焼却施設更新の契機にあわせた広域・協働化シナリオのGHG削減効果と事業性の評価を行った.現在,この研究成果をまとめて,論文投稿中である.さらに,2022年度の研究計画に掲げた,ごみ処理のサプライチェーン全体に拡張した遊休能力活用モデル開発について一部先行し,埋め立て完了後の最終処分場浸出水処理施設の遊休能力を活用した湿式メタン発酵の適用可能性について研究をとりまとめた(査読付き論文として採択済み). 以上より,おおむね順調に進展していると自己点検評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の分析の中で,既存施設のごみピットの遊休能力を活用した中継施設化の費用対効果を評価した結果,必ずしも全ての既存施設の遊休能力活用は得策とはいえず,地域内での規模の大きな施設での中継施設化を行いつつ地域内でのシェアリングを実施することが有効ではないかとの仮説を得るに至っている.そこで,2022年度は,中継施設への機能転換の進化をめざし,地域内での中継施設のシェアリングを含めた遊休能力活用モデルを分析をすることを課題とする.さらに,収集輸送や維持管理に着目した遊休能力活用モデル開発をめざす.
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