2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of nature-based channel management in mountain streams
Project/Area Number |
21K04316
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 辰郎 九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (20711849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 山地河川 / ステップ-プール構造 / 水位観測 / 木本 / 山附川 / 巨石 |
Outline of Annual Research Achievements |
治水と環境の両立を目指した河川管理が進められてきたが,平地河川と比較して,山地河川の研究は限られており,環境に配慮した山地河道の改修も数件程度に留まっているのが現状である。そこで本研究では,環境配慮型の河川改修手法が導入された山地河川を環境・治水の両観点で評価し,導入された手法の効果と課題を明らかにすることを目的としている。 今年度は,平成17年の台風被害後に山地河川における先進的な多自然川づくりが実施された宮崎県高千穂町の山附川について,前年度に引き続き詳細に現地調査を行った。山附川を対象に詳細な調査を継続した理由としては,令和4年9月に台風14号が到来し,平成17年に河道が被災した際と同程度の大規模出水が発生し,データが極めて限られている大規模出水前後の山地河道の変化状況をモニタリングできるからである。令和4年9月の台風14号の前後で,UAV(Unmanned aerial vehicles)による河川空撮と河道内の植物(木本)の分布・流出状況を調査した。また,河道内に設置した18本の水位計のうち,2本を回収することに成功し,山地河川の大規模出水時の水位データを取得することが出来た。さらにUAV空撮画像から巨石の移動状況を明らかにした。次年度に巨石の移動条件の整理を行う予定である。植物については,部分拡幅など自然に配慮した河川改修区間において,アカメガシワ,ツクシヤブウツギ,ネコヤナギをはじめ10種合計43本の木本の生息が確認されたが,令和4年9月の出水によりほとんど全て(42本)の木本が流出したことがわかった。また,木本の繁茂状況と河道の物理環境条件から,各種木本のハビタットモデリングを行い,木本の繁茂に重要となる河道条件を定量的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和4年9月に山附川において河道が大きく改変する大規模出水が発生し,その事前・事後のデータを取得することができた。山地河川における自然に配慮した河道設計を考える上では,河道内のStep-Pool構造の安定性を科学的に評価することが欠かせない。令和6年度に実験水路を用いてStep-Pool構造の安定性を評価する実験を行う予定であったが,当初の予定にはない大規模出水時の水位と巨石の移動に関する現地観測データを取得することができ,当初の計画以上に研究が大きく進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に広域調査から対象河川を絞った形での研究にシフトした結果,詳細な現地データを取得することができ,研究が大きく進展した。今後は,現地観測や生物調査を継続しながら,観測により得られた豊富な現地データの解析を行い,山地河川の具体的な設計手法につなげられるように研究のまとめを行なっていく。魚類について大規模出水後のデータが取得できていないため,魚類の調査を実施すると共に,工事の延長によりプレ調査しか実施できていない神代川(近年,多自然川づくりを実施した山地河川)における生物(魚類)とハビタット構造の調査を実施する。
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Causes of Carryover |
台風14号が発生し,それに関連した追加調査を優先した結果,英文校閲の実施を次年度以降に延期した。次年度使用額は延期となった英文校閲費として使用する予定である。
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