2022 Fiscal Year Research-status Report
水環境中に存在するレチノイン酸受容体に結合し得る化学物質の実態解明
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21K04318
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
澤田 和子 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (00772485)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 河川水 / クロロフィルa / レチノイド / LC/MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
LC/MS/MSを用いた河川水中に存在し得るレチノイドを測定することを目的として、LC/MS/MSを用いた分析条件の検討を行った。さらに、レチノイドの前駆体であるβ-カロテンおよび藻類の寄与を確認するためのクロロフィルaの2物質について、LC/MS/MS分析の条件検討を実施した。LC/MS/MSを用いて9種類のレチノイド、クロロフィルaおよびβ-カロテンについて、プリカーサイオン、プロダクトイオンおよびコリジョンエナジーなどのMS情報を取得した。取得したMS情報およびODSカラムよりもより高い分解能を有するInertSustain ODS-3カラムを用いて11物質の測定を試みた。その結果、8種類のretinoidを同時測定が可能な分析条件、およびクロロフィルaの分析条件をそれぞれ確立することができた。次に、それら分析条件を用いて、河川水中に存在するretinoidおよびクロロフィルaの測定を実施した。MSクロマトグラムにおいて、レチノイドと推測されるピークを確認することができた。さらに、クロロフィルaも測定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属研究機関を移動したことで分析機器の外注なしでLC/MS/MSを用いたレチノイドの測定が可能となり、その分析条件を用いて河川水中に存在するレチノイドを検出することができた。また、河川水中のレチノイン酸活性はシアノバクテリアによるレチノイン酸類の代謝に寄与する可能性も指摘されているため、河川水中のレチノイドの存在に藻類の影響が寄与するかどうかを評価するためのクロロフィルaをLC/MS/MSを用いて定量できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
河川水中においてレチノイドの存在濃度の時季による変動を確認し、河川水中におけるレチノイドの存在に寄与し得る環境条件(藻類(クロロフィルa)や各種水質項目)を把握する。
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Causes of Carryover |
旅費の項目について、2023年3月に参加した学会旅費の使用が2022年度内で計上されなかった。また、その他の項目について、所属機関の共有機器のLC/MSを用いて河川水中のレチノイドを分析予定だったが、2022年7月に所属機関が変更になったことによりLC/MS/MS機器を用いた分析が可能となり、機器分析使用料が必要なくなった。
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