2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigating pollution dynamics of swimming pool waters by means of chemical and biological markers
Project/Area Number |
21K04320
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
黒田 啓介 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30738456)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
端 昭彦 富山県立大学, 工学部, 講師 (70726306)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 水浴プール / 水系感染症 / 汚染動態解析 / 人工甘味料 / 医薬品類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は学校やスポーツクラブなどの様々なプールの水質汚染とその季節変化の実態、および施設や利用者の特性に応じた水質の特徴を化学的・微生物学的水質分析から明らかにすることである。 2022年度は、2021年度までの調査結果を鑑み、代表的な数カ所のプールで集中的に調査を行い、屋内・屋外の別、水処理方法、利用者数、利用者特性等の観点から汚染物質の濃度や起源、一人あたり負荷量やそれらの季節変化等を詳細に解析した。その結果、医薬品や人工甘味料等の化学的汚染マーカーは屋外プールに比べて屋内プールで高濃度となり、また利用者の数や年齢層がマーカー濃度に影響している可能性が示唆された。また、屋内プールについて、水質の日内変動や、プール内の場所による水質の違い、水処理(ろ過)過程の水質変化を評価した。さらに、化学的汚染マーカーと健康関連微生物との比較から各指標の特性を評価した。 また、屋外および屋内で光照射実験を行い、塩素・光の同時存在下における汚染マーカーの濃度減衰速度を調べた。今後は、これらの実験結果から、実際のプール水中における各種物質の減衰速度等を推定し、プール水における汚染物質の排出速度や動態についてより正確に評価する。 これらに加えて、プール水の水質向上に適用しうる水処理技術として可視光駆動光触媒についても検討した。 これらの結果をプール施設管理者へフィードバックしつつ、プールの施設特性や利用者特性に応じた水質管理方法や利用者への注意喚起等、プール利用における安全・安心の確保に資する対策を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象とした小学校やスポーツクラブ等のプールでは、地元教育委員会やプール管理者の協力のもとに採水調査を行うことができ、当初計画通りに試料を得た。試料数は2021年度以前に行った調査データを合わせると合計172試料となった。プール水中汚染マーカー群の挙動解析については、夏季の屋外と、模擬太陽光を用いた室内実験により、光と残留塩素存在下のマーカー群の挙動を明らかにすることができた。水質分析やデータ解析は順調に進捗しており、学会発表や論文投稿を行うなど、研究発表も進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
プール水水質の実態調査については、消毒副生成物やその他の汚染物質の分析を行い、汚染マーカーとの関連について調べる。光・塩素存在下の物質動態については、引き続き光照射実験を行い、光や塩素濃度、pHなどの条件を変化させた場合の各種物質の減衰速度を調べる。これらのデータと、実際のプール水における水処理による減衰を考慮して、これまでに得た実際のプール水における汚染物質の排出や汚染源の排出実態、およびそれらに影響する因子(屋内・屋外の別、季節、水処理方法、利用者数、利用者特性等)についてより正確に評価する。これらの結果をプール施設管理者へフィードバックしつつ、プールの施設特性や利用者特性に応じた水質管理方法や利用者への注意喚起等、プール利用における安全・安心の確保に資する対策を検討する。
|