2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of an electrochemical photo-Fenton-type advanced oxidation process without reactant addition
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21K04322
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岸本 直之 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (00293895)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 促進酸化処理 / Fenton法 / 電解処理 / UV処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,電解photo-Fenton型処理法に及ぼす鉄イオン濃度,電流密度の影響を詳細に調査し,影響発現メカニズムを検討した。実験の結果,電流密度が高い条件では鉄イオンの添加は処理効果に負の影響を与え,逆に電流密度が低い条件では鉄イオンの添加は処理効果に正の影響を与えることが明らかとなった。 本処理法の反応性ラジカルの生成プロセスは「(1)Fenton型反応」「(2)遊離塩素のUV分解反応」「(3)鉄(Ⅲ)イオンの光還元反応」から成る。加えて「(4)遊離塩素の電解生成反応」「(5)鉄(Ⅲ)イオンの電解還元反応」が付随して起こる。 上記のメカニズムに基づき,反応経路毎に電解電流(電子数)あたりのラジカル生成量の化学量論比(モル比)を評価した結果,(3)+(4)+(1)で1,(5)+(4)+(1)で0.5,(4)+(2)で1と評価され,(5)+(4)+(1)の反応系(いわゆる電解Fenton型反応)の貢献度がプロセスの有効性に関係していると考えられた。鉄化学種の吸光係数を測定し,検討した結果,電流密度が大きい場合,(4)が促進されて遊離塩素濃度が高まり(4)+(2)が促進されるが,鉄イオン添加時は鉄イオンの強いUV吸収により(4)+(2)が阻害され,逆に(3)+(4)+(1)や(5)+(4)+(1)が促進されて処理性能の低下をもたらすと評価された。一方,電流密度が小さい場合,(4)が抑制されて遊離塩素濃度が低くなる。結果として,鉄イオン添加がない場合はUVエネルギーが過剰となる。一方,鉄イオンを添加すると(3)+(4)+(1)や(5)+(4)+(1)が促進される。この場合,(5)+(4)+(1)による化学量論比の低下が起こるものの,鉄のUV吸収によるUVエネルギーの有効利用率の向上が化学量論比低下効果を相殺し,促進効果をもたらしたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において,令和4年度は電解photo-Fenton型処理法のプロセス最適化と設計指針の提示を目的としている。本プロセスの重要な影響因子である鉄濃度と電流密度の関係について詳細に検討した結果,本処理法が有効に機能する条件について,メカニズムを含めて明らかにすることができ,プロセス設計の目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記載した通り,提案プロセスの影響因子についてメカニズムを含めて明らかにし,プロセス設計の指針も確立できた。本プロセスは鉄と塩化物イオンを触媒的に利用するプロセスである。このうち,鉄については処理後に沈殿回収し,プロセス内で循環再利用することができるが,塩化物イオンについては最終的に処理水とともに流出する。したがって,実用を想定すると,安価な塩化物イオン源としての海水の利用は処理コスト低減のための有望な選択肢である。そこで令和5年度は当初計画通り塩化物イオン源としての海水の利用可能性を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
実験装置を構成する電解フローセルに用いる電極について,既有の電極を再生利用したため,電極製作費が支出されなかったことが主たる理由である。令和4年度末の実験において,使用している電極の触媒層の劣化が認められたため,令和5年度に電極を新たに製作することを計画しており,その費用として支出する予定である。
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Research Products
(1 results)