2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04326
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
高荒 智子 福島工業高等専門学校, 都市システム工学科, 准教授 (80455112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
西山 正晃 山形大学, 農学部, 准教授 (10802928)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 緩速ろ過 / LED / 生物ろ過膜 / 覆蓋 |
Outline of Annual Research Achievements |
緩速ろ過方式は,ろ過池には太陽光が照射されるように野ざらしになっている場合が多い.また,管理者が施設内に常駐していないケースもあることから,施設の安全性を高める必要がある.本研究では,ろ過池の覆蓋を施し,かつLEDによる光照射を行う「LED装備緩速ろ過池」の開発を目指している.これまでの処理性能を維持しながら,光照射のコントロールによって効率的なろ過池管理ができることを期待している.初年度である2021年度は,緩速ろ過池の覆蓋やLEDによる光照射が処理水水質と生物ろ過膜に与える影響を調べるため,実際の浄水場において異なる光条件のもとで夏~冬にかけてろ過実験を行った. ろ過実験は簡易浄水場の一角に小型のろ過装置を設置して行った.実験期間は2021年8月から12月である.実験装置は,アクリル製円筒 (φ10cm,長さ150 cm)に砂利と砂を充填することでろ過池を再現し,光の条件は太陽光,遮光,青色発光ダイオード(LED)の3条件とした.ろ過速度は実験開始時に4.8m/日に調整した.連続ろ過後,ろ過速度が2 m/日程度まで低下したら,砂層の表層約2㎝を掻き取ることで生物ろ過膜を採取した. ろ過開始から処理水濁度が安定するまでの期間は,光条件の違いでみると,夏期を除き太陽光の条件で最も早く,光がある条件では遮光の条件よりも2日程度早めることができた.生物ろ過膜の細菌類の多様度指数は,どの条件でもほぼ差がない結果がなかったが,太陽光やLEDの条件では秋期のCyanobacteriaの存在割合が高い結果となった.生物ろ過膜中の藻類は,どの条件も珪藻がほとんどを占めているものの,太陽光の条件ではカビ臭の原因となるPhormidium sp.が高い割合で存在た.LEDでは存在割合を抑えられており,照度の調整によって,藻類の存在割合をコントロールできる可能性があるかもしれない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2021年度は,浄水場に設置したろ過実験装置を用いて,各季節における覆蓋およびLED照射の影響を評価することを行った.新型コロナウイルスの感染状況の悪化により,一時,浄水場に立ち入れない時期の発生などによって一部の実験データを取得することができなかったが,四季のうち,春を除く夏から冬の実験を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
データ取得ができなかった春期の実験を行い,四季における緩速ろ過池の特徴を把握する.また,初年度の実験を通して,照明に使用しているLEDは生物ろ過膜の形成のために光強度を強める必要があることが課題となった.そのため,今後の研究では,LED照明の照度の最適化を行う.また,緩速ろ過池の管理ではろ過継続に応じて成長する生物ろ過膜の状態を適切に評価する必要がある.今後は,この評価方法を調べる.
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Causes of Carryover |
進捗状況で前述した通り,新型コロナウイルスの感染状況の悪化により,一時,浄水場に立ち入れない時期の発生し,予定していた実験データの一部が取得できなかった.発生した残金は,実施できなかった春期の実験の藻類および遺伝子解析に使用する.
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