2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04326
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
高荒 智子 福島工業高等専門学校, 都市システム工学科, 准教授 (80455112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
西山 正晃 山形大学, 農学部, 准教授 (10802928)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 緩速ろ過 / LED / 生物ろ過膜 / 覆蓋 / 藻類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地方で多く採用されている緩速ろ過方式のろ過池管理に関して,安全性の強化と維持管理軽減を目的としたLED装備覆蓋緩速ろ過の技術を構築することである.緩速ろ過池による水処理では,生物ろ過膜が処理性能を左右するが,そこに生息する微生物がどのような機序で浄化に寄与するかについては不明な点が多い.また,我が国においては,季節の変化によって水源の水質の変動が大きく,生物ろ過膜も少なからず影響を受けていると考えられる.そこで,ベンチスケールのろ過装置を用いた緩速ろ過の実験を季節毎に行い,光の有無が生物ろ過膜に与える影響を詳細に調査した.また,季節変化と光条件の違いに伴うろ過閉塞や生物ろ過膜中の構成微生物の変化について確認できた.ろ過閉塞を防ぎ長期間ろ過期継続することを重視するろ過池管理においては,細菌類よりも糸状藻類Melosiraの管理がポイントであり,光条件がろ過池環境を左右する要因になっていることを確認した. また,太陽光によって生物膜が過剰に成長し,ろ過池の閉塞によるろ過水量の低下が確認できる季節において,青色LEDを用いた人工光の照射による閉塞軽減の効果を評価した.さらに,ろ過閉塞を抑制するための照射条件について確認した.LEDの常時照射では,Melosiraの過剰な増殖のほかにろ過漏出を招くNitschiaやFragilariaが一定の割合で増加した.12時間明暗の条件では,Melosiraが卓越し処理性能の高い生物ろ過膜が形成されていた.また,この条件で砂層上層に存在する濁質の量は遮光条件よりも少なく,ろ過膜に補足された濁質が系外に排出されていたことから,今後の研究では,糸状藻類の増殖と排出の効果を高めるように,青色LEDのより適切な照射条件を探る必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
四季を通したベンチスケール実験を通して,ろ過閉塞や生物ろ過膜が四季の変化やろ過閉塞に与える影響を確認することができた.また,青色LEDを用いた光条件のコントロールによって,生物ろ過膜の成長を操作しろ過閉塞の抑制が可能であることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究成果をもとにすると,青色LEDを用いた緩速ろ過池の管理では,糸状藻類Melosiraの増殖と排出をコントロールすることが効果的であることが分かった.次年度は,生物ろ過膜中の微生物構成の情報をもとに,青色LEDの最適な照射条件を決定し,維持管理に要する費用を推算する.また,生物ろ過膜の成熟度を把握するための指標について考察する.
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Causes of Carryover |
実験装置の設置台数の制約や研究の進捗との兼ね合いから,水質分析や遺伝子分析のサンプル数が予定よりも少なかった.また,打ち合わせ等がオンラインで実施された都合で旅費額等に変更が生じた.次年度以降,機器の導入・消耗品購入・学会参加などによってこれらを使用する計画である.
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