2022 Fiscal Year Research-status Report
オンサイトで迅速に利用可能な核酸抽出不要の微生物解析技術の開発
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21K04328
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
川上 周司 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (00610461)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細菌定量 / aptamer / real-time PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
水環境中の細菌群において、その存在数をモニタリングする方法としてはrRNA遺伝子やtuf遺伝子の遺伝子数を定量するreal-time PCR法がある。しかしながら遺伝子定量を行うためには細菌の細胞からDNAを取り出す必要があり、さまざまな種類の細胞構造から普遍的にDNAを抽出することが難しいことから、その測定結果には抽出効率によるバイアスを含むことになる。本研究ではDNA aptamerとreal-time PCR法を組み合わせることでDNA抽出を介さずに試料中の任意の細菌数を定量できないかと考えた。本研究では、初期検討として、段階希釈で作成した存在数の異なる細菌サンプルを作成し、それらに結合したaptamerの数をreal-time PCRで計測することで開発を目指す技術の実現可能性を検討した。 段階希釈したE.coliに対しP12-55 aptamerを結合させ、熱変性によって剥がしたaptamerの数をreal-time PCRで計測した。結果、すべてのサンプルからaptamerの検出に成功した。ただ、初期菌体量とPCR増幅の立ち上がりにおけるサイクル数 (Ct値) の両者間には、通常の遺伝子定量時における検量線サンプルで見られるような均等な間隔での立ち上がりにはならなかった。これは細菌の段階希釈において細胞固定を行わなかったことが原因であると思われ、実験過程の中でも細菌の増殖が見られたことなどが要因と考えられる。それでも10^8 cell/mLが最も増幅曲線の立ち上がりが早く、段階希釈に応じてその立ち上がりは遅くなっていく傾向が見えた。このことから、初期菌体量とaptamerの量には相関がみられ、細菌数を定量できる可能性を示すものと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
aptamerとreal-timePCR法を組み合わせた定量系を構築するなど、研究は当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は複数種の細菌を混合した系や、平板培養法との定量結果の比較などの検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)