2021 Fiscal Year Research-status Report
統一的基準による鋼構造部材の破断予測手法に関する研究
Project/Area Number |
21K04340
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
水島 靖典 兵庫県立大学, 環境人間学部, 講師 (90554767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 泰彦 株式会社竹中工務店 技術研究所, 建設材料部, 主任研究員 (30554761)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鋼構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
巨大地震時に鋼構造建物に生じる可能性がある「破断」を統一的な方法で予測することは現状不可能である。これは、地震における鋼材の破断を予測するために必要な「形状による応力状態の違い」と「繰返し塑性変形」の両方を考慮したデータ、構成則が存在しないためである。本研究では応力状態の違いと繰返し塑性変形の両方を同時に考慮した破断条件「低・極低サイクル疲労曲面」を構築する。更に、この「低・極低サイクル疲労曲面」に基づいた破断構成則の開発を行う。本研究は、これまで不可能だったあらゆる部材に対して統一的な基準を用いた鋼材の破断予測を目指すものである。 研究初年度である2021年度は応力三軸度をパラメータとするために、試験体に切り欠きを設けた低サイクル疲労試験装置の設計を行った。試験装置は圧縮時の座屈を補剛するための試験体補剛機能と、画像相関法による3次元画像変形計測を行うための試験体の可視性を両立した治具を開発した。開発した実験装置を用いて、ひずみ振幅3%~8%程度の範囲で応力状態を変化させた低サイクル疲労実験を実施した。その結果、応力三軸度が大きいほど同程度のひずみ振幅であっても、亀裂の発生およびピーク荷重の低下が早期に生じることが確認できた。また、実験を行った範囲内では全ての試験体形状において、ひずみ振幅-破断繰返し数をプロットした両対数軸グラフ上でほぼ直線となるManson-Coffin則が成立することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画では2021年度に実験装置の設計、極低サイクル疲労試験の開始、極低サイクル疲労曲面の定式化を行う予定であった。このうち極低サイクル疲労曲面の定式化については、実験データが得られるまでは、その形状の検討がつかず実施困難であると判断し、2022年以降に実施することとした。申請時の研究計画では極低サイクル疲労特性のデータがある程度収集された時点で、パラメータフィッティングを実施する予定であったため、この段階で改めて定式化を行っても研究全体の計画に影響は無いと判断している。その他の項目については実験装置の設計は終了し既にデータを集め始めている段階であり、計画通り進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度では、極低サイクル疲労実験装置を構築し、応力状態を変化させたときの低サイクル疲労特性に関するデータを取得した。初年度に使用した試験体では、3次元画像計測時の視認性がやや劣ることから、試験体形状を若干変更して低サイクル疲労実験を行う予定である。2022年度は初年度に取得できなかった、ひずみ振幅が10%を越え、数回の繰返しで破断するような領域も含めた広範囲でのデータの取得を小野合う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では試験体を一括発注する予定であったが、保存中の発錆の可能性などを考慮して実験スケジュールに応じて分割して発注することとしたため差額が発生した。2022年度の実験スケジュールに合わせて試験体を順次発注するため、適切に執行可能であると考えている。
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