2022 Fiscal Year Research-status Report
Effect Evaluation of River Gravels on Drying Shrinkage of Concrete
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21K04342
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
太田 達見 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (10833288)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 川砂利 / 石灰砕石 / 乾燥収縮率 / 岩種判定 / 拘束効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、静岡県内河川産骨材として大井川産川砂利と富士川産川砂利、およびその比較用としての大分津久見産石灰砕石を採り上げ、3軸ゲージを用いて、吸水過程と乾燥過程におけるひずみ測定を実施し、得られた主ひずみから粗骨材の乾燥収縮率を評価した。 粗骨材の乾燥収縮率(平均)は、大井川産川砂利で280μ、富士川産川砂利で371μ、津久見産石灰砕石で58μであった。乾燥収縮率のばらつきは両河川産川砂利で大きく、単一岩種からなる石灰砕石ではばらつきも小さかった。また、両河川産川砂利に対する岩種判定を実体顕微鏡観察と目視にて行い、これら両河川産川砂利は砂岩、頁岩、チャート、ホルンフェルスなどの堆積岩が多く含まれることを明らかにした。その結果、両河川産川砂利における乾燥収縮率のばらつきは、川砂利に含まれる岩種が影響していることも判明した。 これらの粗骨材がコンクリートの乾燥収縮ひずみに対する拘束効果を確認するため、大井川産川砂利と津久見産石灰砕石を用いたコンクリート(呼び強度27、スランプ18cm)を練り、同時にこれらコンクリートから粗骨材のみをウェットスクリーニングにて除去したモルタルでJIS A 1129に準じた長さ変化試験用供試体を製作した。この供試体に対し乾燥材齢26週までの長さ変化率を求め、コンクリートとモルタルの長さ変化率の比から粗骨材によるコンクリートの乾燥収縮ひずみの拘束効果を比較した。その結果、拘束効果は、粗骨材の表面が比較的平滑な大井川産川砂利の場合が34%、津久見産石灰砕石の場合が50%となり、改めて石灰砕石によるコンクリートの収縮低減効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画立案時において、2022年度は河川産骨材の諸物性と内部組織・鉱物組成との関係性評価と、骨材とセメントマトリックスの界面における剥離可能性について実験検討を行うこととしたが、2021年度にX線回折や電子顕微鏡観察による鉱物組成の特定を先んじて行い、河川産骨材の諸物性を的確に評価することが難しいことが明らかになった。この結果を受け、2022年度に実体顕微鏡観察や目視によって河川産骨材の岩種判定を行い、概ね河川産骨材の岩種を特定し、岩種によって骨材の乾燥収縮率に差があることが判明した。 しかし、当初予定としていた骨材とセメントマトリックスの界面剥離については、その解明手法を十分に把握できなかったため、その代替案として、河川産骨材で練ったコンクリートとそのコンクリートから粗骨材のみを除去したモルタルの長さ変化率を比較することで、粗骨材によるコンクリートの乾燥収縮拘束効果を明らかにした。 このように、当初計画に示した項目を一部実施できなかったものの、それに代わる項目で河川産骨材がコンクリートの乾燥収縮性状に及ぼす影響を評価したことから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
静岡県内河川産骨材として、これまでに未検討である安倍川産と天竜川産の両河川産骨材についても、2022年度と同様に、3軸ゲージを用いたひずみ測定を行うとともに、これらの骨材によるコンクリートとモルタルの供試体で長さ変化率を求め、川砂利によるコンクリートの乾燥収縮に対する拘束効果を評価する。また、実験手法が困難ではあるが、これら河川産骨材によるコンクリートとモルタルに関して、線膨張係数を求め、乾燥収縮率と線膨張係数の両面から、粗骨材の相違がもたらすコンクリートのひずみ挙動への影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究立上げ当初の予定とは異なる実験・測定を行ったことから、若干金額が未使用金となった。2023年度において、未使用金は粗骨材のひずみ測定のための3軸ゲージの購入や測定用データロガー・チャンネルユニットのリース費に充当する予定である。
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