2023 Fiscal Year Annual Research Report
建設用3Dプリンターのためのセメント系材料の開発およびプリンティング方法の確立
Project/Area Number |
21K04344
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
寺西 浩司 名城大学, 理工学部, 教授 (30340293)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 3Dプリンター / モルタル / セメント系材料 / 繊維 / レオロジー / チクソトロピー / 静的降伏応力 / 回転粘度計 |
Outline of Annual Research Achievements |
押出し方式の建設3Dプリンティングでは、輸送管内のモルタルをノズルまで圧送できる「押出し性」と積層後のモルタルが自立する「積層性」が求められる。そして、これらの相反する2つの性能を両立させるためには、モルタルに高いチクソトロピー性を付与することが一つの手段になる。そこで、本研究では、まず、セメント系材料のチクソトロピー性を評価する方法について検討し、回転粘度計で測定される負の勾配を有する流動曲線から静的降伏応力と動的降伏応力を算出し、その差をチクソトロピー性の指標とするような評価方法を確立した。 本研究では、このことを踏まえ、建設3Dプリンティングに用いるためのモルタルの開発に取り組んだ。まず、ダイユータンガムやポリオレフィン微細繊維を混入してチクソトロピー性を効果的に付与したモルタルを開発した。次に、圧送時の輸送管内での閉塞防止に配慮した3Dプリンティング用モルタルの調合設計法を整備した。そして、最終的に、このようにして開発したモルタルを用いて実機建設用3Dプリンターで押出し・積層試験を行い、このモルタルが3Dプリンティング用として適切であることを確認した。 ただし、このモルタルの場合、一度に積層できる積層高さに自ずと限界が生じるものと考えられた。そこで、上記とは別の手段として、モルタルの水和を促進させて自立性を確保する方法の可能性を探るための基礎的な検討を行った。そして、硬化促進剤の種類や添加率などの組合せによりモルタルの凝結時間を広範に調整できることを明らかにし、このタイプの3Dプリンティング用モルタルの開発に道筋をつけた。 なお、3Dプリントされたモルタル積層体の場合、層間の付着強度や耐久性の低下が懸念されるため、本研究では、これらの性能が低下しにくい積層条件(積層幅、1層当たりの積層高さなど)についても明らかにした。
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Research Products
(16 results)