2021 Fiscal Year Research-status Report
高流動コンクリートのレオロジー定数推定法と振動および間隙通過を考慮した充填解析
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21K04355
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山田 義智 琉球大学, 工学部, 教授 (80220416)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 建築構造・材料 / 高流動コンクリート / レオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,①高流動コンクリートのレオロジー定数をスランプフロー試験より推定する方法の開発と,②振動下における高流動コンクリートのレオロジー定数の推定,③振動下における高流動コンクリートの間隙通過性の評価を行った。以下に,それぞれの研究の概要を示す。 まず,①においては,球引き上げ試験を行い,モルタルのレオロジー定数測定を行うと同時に同じモルタル試料を用いてスランプフロー試験を行い,スランプフロー値から降伏値,400㎜フロー到達時間より塑性粘度を推定する式を提案した。なお,レオロジー試験はモルタルで行っているが,コンクリートを連続体と仮定すれば,提案推定式は有効であると考えられる。そこで,高流動コンクリートにおいても提案推定式の有効性を確認するために,高流動コンクリートのスランプフロー試験をMPS法により再現したところ,良好に再現できており,提案式の有効性が確認された。 次に②においては,上記①のレオロジー定数推定式を用いて,振動下における高流動コンクリートのレロジー定数を推定した。その結果,降伏値は振動加速度の大きさや加振時間によって指数関数的に低下することが分かったが,塑性粘度と振動パラメータ(振動加速度や加振時間)に関係性は認められなかった。 最後に③においては,振動下における高流動コンクリートの間隙通過性を加振変形試験機上にてJリングフロー試験を行うことで評価した。その結果,間隙通過性を表すPJ値は,振動加速度や加振時間の振動パラメータとの相関が認められたが,B値には振動パラメータとの相関が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い,スランプフロー試験から得られるフロー値と400㎜フロー到達時間より,降伏値および塑性粘度の推定式を提案した。その推定式の有効性はMPS法によりスランプフロー試験を再現することにより確認した。 さらに,この推定式を振動下の高流動コンクリートのスランプフロー試験に適用して,振動下の降伏値と塑性粘度のレオロジー定数の評価も検討した。また,振動下における高流動コンクリートの間隙通過性を加振変形試験機上にてJリングフロー試験を行うことで評価した。 これらの成果を取りまとめ査読論文や学会梗概などに投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,まだフレッシュコンクリートが鉄筋間等の障害物間を通過する際の解析に課題が残っている。この課題の問題点は,粗骨材の偏在によるレオロジー定数の変化が現在のモデルには考慮されていないことが原因と考えている。本年度は上記のレオロジー定数の影響を考慮した材料分離モデルを作成し,Jリングフロー試験によるコンクリートの間隙通過解析の精度を高めることを目標として,昨年度に行ったJリングフロー試験の解析に取り組む。 また,昨年度の研究成果である振動下のフレッシュコンクリートのレオロジー定数の推定を行い,振動下における間隙通過性の評価を加振変形機上におけるJリングフロー試験をMPS法にて再現することで評価する。 振動下および間隙通過性を考慮したフレッシュコンクリート解析用のMPS法とBIMを援用したモデリング技術を用いて,複雑な配筋部位(例えば柱梁接合部など)のコンクリート充填解析を行う。
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Causes of Carryover |
2022年3月に行われる日本建築学会九州支部研究発表会への出張を予定していたが,新型コロナによりオンライン開催となったため剰余金が生じた。この剰余金は,次年度の当該科研研究課題の費用に充てた方が良いと判断した。 なお,この剰余金は,当該科研費研究課題に関連する論文の掲載費用等に充てる予定である。
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