2021 Fiscal Year Research-status Report
風力発電設備支持物の金属疲労抑制のための多点TMD制御
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21K04361
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
富澤 徹弥 明治大学, 理工学部, 専任講師 (30774773)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 風力発電 / 風力発電設備支持物 / 加速度 / 制振 / TMD / スペクトル / 時刻歴応答解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,風力発電設備支持物に発生する日常的な振動に対して,部材応力や疲労損傷度の低減を図ることを目的とした振動制御技術の開発を行っている。風力発電は再生可能エネルギーとして,近年急速に普及してきている。風力発電設備は一般的な建築物とは異なり,発電するためには風を受けて稼働する必要があり,これに伴いブレードを含む発電設備を支持する構造物(以下,「タワー」と呼ぶ)は常に振動状態にある。このような日常的に発生する振動は,鋼構造が多く採用されているタワーにおいて,金属疲労による劣化の原因になり得るとされている。近年,風力発電設備の事故も多くなってきており,疲労が事故要因のひとつとも考えられている。そこで,本課題では制振装置を用いて,発電時のタワーの常時振動を低減することで,疲労を抑制することを目的とする。 2021年度は実存する風力発電設備タワー部の複数箇所に加速度計を設置し,各点における応答加速度を計測した。加速度計は計4台とし,主にタワーの継手フランジ付近のステージ周辺の側面,高さ方向としてはGL-1.65m(基礎コンクリート上), GL+16.39m, 40.15m, 61.09m(ナセル直下のヨーフロア)の位置に設置した。計測は毎時00分および30分から5分間の計測を行い,3軸方向の加速度を取得しており,既設システムであるSCADAデータから,発電量,風速,風向,ナセル角度等の1秒データも取得している。 今後少なくとも2年間は計測を継続し,無線加速度計等の躯体を傷めず後付け可能な簡易なセンサーにより,タワーの健全性および余寿命評価に資するデータを蓄積する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年度計画通り,2021年度は実存する風力発電設備タワー部の複数箇所に加速度計を設置し,各点における応答加速度を計測した。計測は毎時00分および30分から5分間の計測を行い,3軸方向の加速度を取得しており,既設システムであるSCADAデータから,発電量,風速,風向,ナセル角度等の1秒データも取得している。計測は2021年11月4日から開始し,長期停電等があったものの,概ね5ヵ月ほどのデータを蓄積している。 また,実測で得られた加速度時刻歴のフーリエスペクトルから実測対象の風力発電設備支持物の固有周期等の振動特性を分析し,解析モデルを同定し,固有値解析・風外力に対する時刻歴応答解析を実施し,解析結果と実測値を比較することで,構築した解析モデルの妥当性を検証した。 以上により,当初の年度計画である「1)実存する風力発電設備における実測調査」と「2)取得データの振動特性の分析および時刻歴応答解析モデルの構築」は実施済であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては,今後少なくとも2年間は計測を継続し,設備の健全性診断,余寿命評価に資するデータを蓄積する予定である。 次年度以降は,年度計画のとおり,「3)時刻歴応答解析によるTMDの振動低減効果の検証」を行い,効果的な振動低減のための多点TMD制御の方法について提案する。また,「4)実存する風力発電設備に用いるTMDの要求性能の検討」についても着手する。 具体的には蓄積した観測結果およびその同定モデルを用いたTMDの振動低減効果等について報告予定である。
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Causes of Carryover |
物品費の一部を次年度のメンテナンス費用としたため。
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Research Products
(6 results)