2022 Fiscal Year Research-status Report
極大地震を受ける鋼構造ラーメン立体骨組の非倒壊設計技術の構築
Project/Area Number |
21K04363
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
向出 静司 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20423204)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 合成梁 / 耐力劣化 / 解析モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,2021年度,大変形時の床スラブと鉄骨梁の合成効果に着目して,不完全合成梁を持つ部分架構の水平2方向載荷実験を実施した.2022年度は,引き続き,異なる条件での実験を実施し,その実験結果に基づいて,大変形域挙動を表現できる合成梁の解析モデルを提案している. 2022年度の載荷実験では,床スラブと鉄骨梁を一体化させるための頭付きスタッドの本数を完全合成梁として十分な数に増やし,2方向載荷による大変形域の挙動を実験的に確認した.試験体は2体で,前年度と同様,載荷方向が異なる2種類の実験を実施した.1つは,直交2方向の荷重を交互に載荷する方法,もう1つは直交2方向の荷重を同時に載荷する(すなわち斜め45度に載荷する)方法である.完全合成梁として十分な数の頭付きスタッドに増やしたことによって,斜め45度方向載荷の正曲げ側では,耐力が上昇した.ただし,負曲げ側や交互載荷では,耐力上昇があまり顕著ではなく,前年度の不完全合成梁の実験結果と同程度の耐力であった.このことから,完全合成梁は,前年度の不完全合成梁と同様と見なすことで,大変形域の耐力を概ね安全側に評価できることがわかった. また,実験で得られた挙動を表現できつつも,地震応答解析に利用できる程度の簡易な解析モデルを提案している.力学モデルとしては,鉄骨梁を回転バネ,床スラブを材軸方向と斜め方向の軸ばねにより構成しており,これに既往研究や本実験結果から得られた知見に基づいた復元力特性を与えている.この提案モデルが実験結果と概ね対応することを確認している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とおり,2021年度に2体,2022年度も2体の試験体を用いて,2方向大変形域載荷実験を実施した.得られた実験結果は,概して想定の範囲内であり,その挙動を表現できる解析モデルについても提案できている.
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度においては,前年度に提案した合成梁の解析モデルを用いて,鋼構造ラーメン立体骨組の地震応答解析を実施する.大変形域における耐力劣化や水平2方向により直交する合成梁の相関を考慮することで,骨組の倒壊性状がどのように変化するのか,検討する.
|
Causes of Carryover |
1万円に満たない額が残ったため,次年度の予算と合算して,主に解析のための費用として使用する.
|