2022 Fiscal Year Research-status Report
残留変形を抑制するRC梁の設計方法と再現性の高いRCフレームの解析モデルの構築
Project/Area Number |
21K04365
|
Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
川添 敦也 鹿児島工業高等専門学校, 都市環境デザイン工学科, 教授 (50710290)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 賢太郎 鹿児島工業高等専門学校, 都市環境デザイン工学科, 准教授 (70897701)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 残留変形 / 二次剛性 / 高強度鉄筋 / 骨格曲線 / 履歴特性 / 損傷抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート梁の上端筋に高強度鉄筋を用いると、大変形時に下端の普通鉄筋が降伏した後も二次剛性を発揮する。このような梁を有する建物は、地震時にフレームが全体崩壊形を形成した後も制震構造と同様の二次剛性を発揮し、残留変形の抑制効果が期待できる。しかし、建物の大変形時に、二次剛性による梁の応力の上昇に伴い層せん断力が大きく上昇する為、柱のせん断補強が通常の建物以上に必要になり、柱のせん断設計が困難になる可能性がある。そこで想定される大変形時の残留変形を二次剛性によって抑制し、想定外の変形に対しては、上端筋を降伏させて部材応力の上昇を抑えるRC梁を提案した。 R4年度は従来型試験体の1体、改良型試験体の2体について実験を行った。従来型試験体では、上下端筋に普通鉄筋SD345を4本ずつ用いている。一方、改良型試験体2体では、上端筋に高強度鉄筋(SD685またはSD785)を4本用い、下端筋には普通鉄筋SD345を2本用いている。このような試験体に大変形後の自由振動を想定した準静的加力を行い、以下の結果が得られた。 (1) SD685を使用した改良型の試験体では、部材角が約1/50rad.で上端筋が降伏したが、さらに部材角を1/40rad.まで増加させても残留部材角は1/400rad.程度に収まった。従って、改良型梁は、上端筋が降伏後、1/200rad.程度の部材角の増加であれば、残留部材角を無視できる程度に抑制することが可能と考えられる。 (2) 改良型梁は、繰り返し大変形させた後に部材全体に負の曲げモーメントが生じるため、大地震後に生じる梁のたわみの抑制効果が期待できる。 (3) 改良型梁は、従来型に比べ大変形時の材軸方向の伸びが小さくなり、ひび割れ幅の抑制に効果がある。降伏機構分離型の損傷抑制を合わせて施すことにより、被災後の補修性能の向上が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、おおむね順調に進展している。改良型梁の加力実験では、高強度鉄筋が降伏時の部材角が予備解析で想定したよりも大きくなったが、部材の残留変形を抑制しながら、せん断力の上昇も抑えることが可能であることを確認できた。論文については、昨年度採択された、柱のモデル化に関する査読付き論文の学会発表を行った。さらに、実験結果に関する論文を2編作成しその内1編は学会発表を行い、もう1編は査読付き論文として採択されており、今年度発表予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでのRC柱梁の実験結果によって得られた解析モデルを基にして、RCラーメンの応答解析を行う予定である。従来のRCラーメンと、提案する改良型梁を使ったラーメンによる解析結果を比較することにより、改良型梁の有効性を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
R4年度に加力実験に使用するデータロガーの購入を予定していたが、別予算により購入ですることができた。また、学会発表で予定していた旅費が、リモート開催により不要となったことにより次年度使用額が生じた。 R5年度に解析ソフト、解析用パソコン購入、追加実験、論文作成および学会発表に関係する費用等として使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)