2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K04367
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
郡 公子 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 名誉教授 (20153504)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ファサード / ダブルスキン / エアフローウィンドウ / 自然換気 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)住宅のファサード設計事例調査:最新の戸建て住宅を対象に、建築計画的に優れた物件として新建築住宅特集に掲載された55件と、環境性能の高い住宅としてサステナブル住宅賞を受賞した物件10件の情報を収集し、窓の特徴や環境配慮の傾向を分析した。住宅の7割は窓面積率30%以下である、ファサード断熱性を示す平均UA値は、窓ガラスを透明単板と仮定すると1.31、Low-Eペアガラスと仮定すると1.07W/㎡Kとなる、建築意匠・計画的に優れた住宅と環境性能の高い住宅とでは、UA値や重視する環境配慮手法の傾向が違うなどのことがわかった。 (2)高性能ファサード評価のための空調設計用気象データ作成法の検討:設計用気象データ更新のために必要となる設計用気象データ作成法を検討した。東京の外気温湿度の露場が大手町から北の丸公園に移転したことに伴い、2地点の外気温湿度について、同時測定結果を分析して補正法を作成した。さらに、2020年試作版設計用気象データを作成し、2010年版との気象の変化やガラス建築の最大熱負荷への影響を明らかにした。 (3)高性能ファサードと自然換気の複合効果の評価:オフィスビルの自然換気は、昼間より夜間(ナイトパージ)の方が導入しやすいことに着眼し、ナイトパージを併用する外気冷房の基本的な省エネルギー効果と室内熱環境の改善効果を数値計算により確認し、さらにエアフローウィンドウ、ダブルスキンを含む種々のファサードとの複合効果をスーススタディにより評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定の研究項目全てについて、多角的な研究を実施し成果を得られた。成果をまとめて、学会発表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)ファサード性能評価のための熱負荷計算法の改良:ファサード性能評価に用いる空調熱負荷計算の精度向上をはかるために、非空調空間からの熱的影響を、ファサード性能に応じて考慮できる実用計算法を作成する。 (2)自然換気制御の計算法の検討:多様な空調システムと建築の熱平衡計算に適するエクスプリシット解法について、自然換気計算時に起きる解法上の限界を解決した上で、空調制御と調和する自然換気制御の方式とその計算法を開発する。 (3)オフィスビルのファサードの地域適合性の評価法:種々の外部・内部日除けとガラスの組合せ効果の計算法を検討し、国内各地の気象に適するファサード仕様を明らかにするための評価法を作成する。 (4)住宅の外皮性能評価法の検討:高断熱外皮の冬の効果、夏の逆効果を打ち消す暑熱対策の効果を、自然室温を指標として評価する方法を検討する。また、数値解析を行い、地域気候に適するファサード断熱性と夏の環境性能のコントロール法を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で、研究発表の出張や建築調査を控えたために、次年度使用額が生じた。次年度の旅費として使用するほか、書籍・物品の購入に支出する予定である。
|
Research Products
(14 results)