2023 Fiscal Year Annual Research Report
Conditions for Actively Selected Behavioral Adaptation Means in Air-Conditioned Offices
Project/Area Number |
21K04378
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中野 淳太 法政大学, デザイン工学部, 教授 (30350482)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱的快適性 / 温熱環境適応 / 行動的適応 / 着衣調節 / 滞在状況 / パーソナル空調 / PCS |
Outline of Annual Research Achievements |
パーソナル空調への対応が意図された温熱環境基準の改定内容および室内環境に対するニーズの変化を背景として整理した。多様な環境の選択権を与えられたとき、居住者は自分の環境を調節できる自由を得ると同時に、その結果に対する責任も負う。日本の働き方は、メンバーシップ型だと言われており、すべてが個人の責任に帰結するジョブ型と異なる。日本のスタイルに適したパーソナル空調に関する視点も重要である。 IEA Annex96の提案する温熱環境適応を考慮した建物の設計方法として、まずは適応制限と適応手段をリストアップして計画コンセプトを整理することが示されている。自然換気オフィスにおいても行動的適応手段としてPCSが重視されており、加熱時および冷却時に求められるPCSユニットの仕様が示されていた。PCSとパーソナル空調では定義が異なるものの、ほぼ同様の環境調節手段が想定されていることが確認された。 大学キャンパス内の空調されたラウンジにて、大学生を対象に行動的適応の調査を行った。滞在中の環境適応行動として、上着の着脱、袖まくり、腕さすり、座席移動などが観察され、室温と外気温の差が大きくなる12月以降に増加する傾向が見られた。また、適応行動の種類は、82~94%を着衣調節が占めていた。滞在時間と行動回数には正の相関があり、滞在時間が長いほど適応行動を積極的に行う傾向が見られた。4人の滞在時間が最も長いものの、行動回数は1~2人グループより有意に減少しており、大人数でいることは適応行動の阻害要因になっていたと考えられる。2022年度春学期の平均滞在人数は、2021年と比較して2倍以上に増加していた。一方で、適応行動の頻度は21 年と比較して半減していた。原因として2022年度は滞在者数が多く、ほとんどの席が占められており、自由な行動が心理的に抑制されたためと考えられる。
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