2022 Fiscal Year Research-status Report
機械学習によるカメラ画像を用いた着衣量・代謝量推定に関する実証研究
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21K04382
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
金 政秀 武蔵野大学, 工学部, 教授 (90598244)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 着衣量 / 代謝量 / カメラ画像 / 機械学習 / 駅前地下街 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目(2022年度)は地下街の通過者を観察調査した後に1年目に引き続き「着衣量」、今年度から「代謝量」推定の機械学習モデルを組み込んだプログラムの構築を行った。東京駅地下街である八重洲地下街のメインアベニュー(人通りが一番多い通路)を対象とした。実施期間は、4月~1月の間で平日と休日合わせて計32日分、いずれも通勤時間帯の朝9時、ランチタイム12時、退勤時間17時にそれぞれ15分間3回撮影を行った。 1)着衣量の推定は、a)動画データから10秒毎に静止画を切り出し、b)静止画内の人物を物体検知し、背景から切り出し、c)人物の着衣スタイルを分類(AI(機械学習))、d)着衣スタイルからクロ値を読み取る、までのa~dまでが自動分析が行われるプログラムの構築を行った。プログラムによる平均クロ値の推定誤差が15%程度あるため、着衣スタイルの分類方法とそれに伴う学習データセットの精度向上を図る課題が残された。 2)着衣量の男女30人による被験者実験を行った。本研究で用いている一般カメラとサーモカメラの比較で、着衣スタイルは、サーモカメラ画像の正答率が91%と一般カメラの87%より若干高く、素材の断熱性(厚み)については一般カメラ画像の正答率の方が74%とサーモカメラ画像の66%より高かった。一般カメラとサーモカメラは着衣量推定のし易さはほぼ同等であった。 3)代謝量は、体重と歩行速度の積に比例していると6人の被験者実験による確認を行った。そこで、動画データから、a)人の体積をPIFu(機械学習モデル)により推定、b)着衣スタイル毎に体積を補正(着衣スタイルと体積の関係は被験者実験により検証)、c)被験者実験で計測した人体密度と推定した体積から体重を推定、d)歩行速度は、動画内の移動距離と時間から算出し、地下街の歩行者90名の代謝量は平均145.5Wであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、着衣量および代謝量ともに動画データから機械学習モデルを用いた推定が行なえた。2023年度は、推定精度を上げることと、実際の現場におけるカメラ設置を行う上での、制約条件について実験などによる検証を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目(2023年度)は、まず着衣量推定の課題として、実際の地下街における着衣スタイルの分類精度を上げることである。昨年度までは30分類を一度に行っていたが、今年度は「スタッキング」を用いることで分類精度を上げる。また、より精度が上がる撮影アングルや解像度にも着目し、これらの条件を変えた場合の実験を行い検証する。 次に、代謝量推定の課題は、運動量と代謝量の関係を20代女性被験者のみで実験しているが、男性や別の年代でも検証が必要である。ここで、実験施設の制約から、大学内で心拍数から代謝量を推定する手法を用いた被験者実験も視野にする。また着衣量と同様に、撮影アングルや解像度にも着目し、これらの条件を変えた場合の実験を行い検証する。
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Causes of Carryover |
全体の研究費が当初の申請額より減額しているため、1,408千円で購入を予定していた代謝量測定装置である「ウエアラブル型呼気ガス分析装置」を購入を見送ったため、差額が生じた。2023年度に、機械学習用のGPU搭載PCの購入を行う。
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