2022 Fiscal Year Research-status Report
吸着材の吸着特性がデシカントローター内部の温湿度挙動に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
21K04383
|
Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鍋島 佑基 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (10738800)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 竜士 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (90571810)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 潜熱顕熱分離空調 / デシカントローター / 吸着材料 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
潜熱顕熱分離空調システムは消費エネルギー削減の観点から有力な手段として着目され,多くのシステムが提案されてきた.潜熱処理の手段としては,吸着材ローターを用いた除湿が一般的であり,すでに種々の吸着材・執着材を用いたデシカントローターの研究開発が行われてきた.デシカントローターは連続的に回転しながら吸着と脱着を行うため,吸脱着量は回転に伴って時々刻々と変化し,さらに回転する吸着材内部の温湿度分布の測定は配線が必要で大型な高精度センサーには困難である.そこでIoT技術を活用し,小型センサーと無線通信機を活用しローター内部の温湿度分布測定を着手した. 本年度は無線式小型センサーと通信機器の小型化と計測点数の増加を行った.従来の計測点(5点)から,8点の温湿度同時無線計測を可能なロギングシステムを作成した.デシカントローターについては,稚内層珪質頁岩ローター(WSSローター)に加えて,A型シリカゲルローター,珪藻土ローターについてそれぞれ内部の温湿度環境を計測し,内部環境の比較を実施した. 実験結果を補正する際,センサー毎の精度のばらつきが大きいことが確認された.これは,IoTセンサー固有の動的な誤差特性が大きな影響を及ぼしているためであり,近しい誤差特性を有するセンサーの選定が必要であることが分かった.比較の結果,吸着材に応じて除湿再生量の分布は大きく異なっており,35℃,40%の再生条件では,A 型シリカゲルはRA から厚み110mm の地点までしか脱着できていないことがわかった.このことによって,吸着側の前半も殆ど除湿ができておらず,除湿/再生量がWSSローターや珪藻土ローターより低い理由が測定値によって観測できた.現在,他の吸着剤として非晶質アルミニウムケイ酸塩を使用したローターや,シリカゲルBタイプの性能評価を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デシカントローター内部の温湿度可視化計測装置について,センサーの測定箇所によっては,予期せぬ大きな誤差が確認された.当然ながら,温湿度に対する校正は行ったうえで実験は行われたが,動的な温湿度挙動を計測した際に合理的ではない値が示された.これはセンサー固有の誤差特性と,ローター内部での風の当たり方や素子と吸着材の接触状況などが異なっているために生じた誤差であると推測している.現在は,センサーの設置方法や校正方法を見直し,比較が可能なところまで補正が可能となった. 現時点で7種類のデシカントローターを収集しており,内3つのローターについては計測を終わらせている.今年度で残る3種類のローターについても計測を行い,吸脱着過程を可視化,比較を行う予定であることから,当初予定していたローター内部環境の計測は官僚の見込みがついているため,順調であると判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
温湿度計測について,今年度は昨年度の計測誤差を解消するため,温湿度センサーの周辺にスペーサーを自作し,設置する予定である.スペーサーを設置することで,センサーとローター基材との間の距離や風のあたり方を安定させることを目指す. デシカントローターについては,入手しているデシカントローターの計測(3種類のローター)を実施する.特に,晶質アルミニウムケイ酸塩を使用したローター,シリカゲル系ローターについて計測を行い,天然材料と合成材料の間で,どのような吸着過程に差が生じているのかを明らかにする. また,計測結果をもとに,数値計算で用いている物質移動係数について再検討を行い,数値計算モデルの見直しを行う予定である.
|