2021 Fiscal Year Research-status Report
非定常ＣＦＤ逆解析を用いた居住域の温熱環境制御に関する研究
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21K04385
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| Research Institution | Osaka Institute of Technology |
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Principal Investigator |
河野 良坪 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (90572222)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃井 良尚 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (40506870)
中川 純 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 准教授 (60875293)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 随伴変数法 / 非定常CFD解析 / 空調吹き出し制御 / 最適化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
システム構築にはVBを使用し、CFD解析及び随伴変数法（逆解析）には、FlowDesigner（㈱アドバンスドナレッジ研究所）を使用した。令和3年度は主に以下の2点についての検討を実施した。
（１）非定常逆解析による室内空調制御法の構築
随伴変数法による逆解析を非定常CFD解析に適用することで、将来予測に基づいた空調吹き出しの動的制御を実現できる可能性がある。本検討では、非定常逆解析により算出される感度を吹出温度の制御に適用することで、室温改善性能の向上が可能であるかについて検証を行う。感度は本来算出時点、つまり現在時刻における改善の方向を示唆するものである。そこで、算出した感度について以下に示す2通りの適用方法を試みた。1）次時刻の吹出温度の決定に使用、2）現在時刻の吹出温度の決定に使用
通常、逆解析はCFD解析ほど計算時間がかからないため、1）の方法では、非定常CFD解析を実時間以内で実行可能であれば理論上は実空調システムと組み合わせたリアルタイム解析も可能である。一方で2）の方法では、CFD解析に2倍の時間がかかるため、将来的に計算機がより高速化された場合での活用を想定している。
（２）SET*の最適化を目的とした逆解析
随伴変数法による逆解析を用いて、SET*を快適な温度帯に導くように空調の吹出気流を制御する方法を提案する。研究の第一段階として定常ＣＦＤ解析を対象に、1回の逆解析で算出される感度値を用いて、吹出口の空気温度と気流速度を同時に最適化することを試みた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
（１）非定常逆解析による室内空調制御法の構築
非定常逆解析により算出される感度を用いて次時刻の吹出温度を制御する方法と、遡って現在時刻の吹出温度を制御する方法とで比較を行った。この際、特に感度が小さな値をとる場合に感度から算出される吹出温度の変更量が大きくなりすぎることがあり、制御目標の温度に対して大きく変動する場合が見られた。そこで、吹出温度の変更量に適切な補正倍率をかけた結果、目標温度に制御する精度を向上が見られた。この補正倍率は解析ケース毎に異なるが、非定常CFD解析・逆解析を進行させる過程でデータを蓄え、順次学習しながら補正倍率を更新させることで制御に関する精度の向上が可能となると考えられた。
現在時刻に遡って吹出温度を制御することで時間遅れの変更よりも目標温度に近い値となり、空調による室温制御の精度が向上した。具体的には、目標温度に対する制御誤差（RMSE値）は0.7℃程度から0.4℃程度に改善された。
（２）SET*の最適化を目的とした逆解析
本検討ではSET*を1℃上昇させることを試みる。このうち、評価領域内の空気温度の改善でSET*を0.5℃上昇させて、気流速度の改善で残りの0.5℃上昇させることを狙いとした。吹出温度の最適化を行った検証Ⅰでは92.0%、吹出風速の最適化を行った検証Ⅱでは89.3%の改善が得られたことより、単一の目的関数に絞り、逆解析でSET*の改善を図ることの有効性を示された。吹出温度と吹出風速の同時最適化を行った検証Ⅲに関しても、99.0%の改善がなされた。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は下記を予定する。
（１）非定常逆解析による室内空調制御法の構築
・令和3年度は単純形状モデルを対象に解析を行ったが、実空間に近い解析モデルでも温度制御が可能であるか検討する。 ・非定常逆解析を用いた風量制御に関する知見を得る。 ・解析の進行と併せて補正倍率を自動的に学習してつくり出すシステムの構築を試みる。
（２）SET*の最適化を目的とした逆解析
・逆解析を複数同時に行い、得られた感度値を設計変数に活用する場合に、それぞれの感度値の重みづけを適切に評価する方法について検討を行う。 ・一回の逆解析で可能な改善幅の限界について検証する。
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| Causes of Carryover |
計画時においてはある程度は研究室内にも計算機があったが、人員の増加と度重なる故障の連続により、研究遂行用のPCが不足している状況である。加えて、非定常計算のため保存データ量が思いの他多く、保存デバイスが必要となる。次年度も様々なケースを試行しながら解析を進める所存であり、令和3年度同様に解析に関する諸費用が発生する予定である。
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