2023 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域における高齢者の実態生活圏を持続しうる施設縮減最適化計画フローの構築
Project/Area Number |
21K04393
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西野 達也 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (90403584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沈 振江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (70294543)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者 / 人口動態 / 後期高齢者 / 市町村 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
厚生労働省は重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で、 自分らしい生活を最後まで続けることを可能とするために、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を推進している。日本全体の傾向として、75歳以上人口は2054年頃にピークを迎え、その後、減少していくと推計される。そのため、今後、高齢者福祉サービスや介護施設、医療などの需要がさらに増加することが想定される。しかしながら、高齢化の状況は地域によって大きな差があり、また各市町村がもつ社会資源も異なる。そこで、市町村ごとの高齢者人口動態からみた適切な高齢者施設の配置を計画することが望ましい。1年目の研究として、75歳以上人口動態による全国市町村の分類と推計開始年の特定を行った結果、全国市町村の75歳以上人口動態は10パターンに分類することができること、国全体での75 歳以上人口の第一ピークは2030 年であるのに対して、同年には最多の40.31%の基礎自治体が同人口ピークを迎えるものの、2020 年ですでに14.45%の基礎自治体が同人口ピークを迎えているなどピークが分散していることが明らかとなった。2,3年目の研究として、高齢者施設の縮減最適化計画フロー構築とGIS実装を行った。同計画フローを構築し、75歳以上人口が減少する過疎地域の事例として石川県北東圏域で適用した結果、時間距離限度カバー率や生活圏の方向性の合致度を考慮して、削減施設を選定することができた。需要が減少する過程で、施設群を集約するか分散するかは重要な論点の一つであるが、二次医療機関に比較的近接していて、交通利便性の高い地区に施設を残すことができれば、生活圏の方向性との合致度と同時に時間距離的効率性も比較的高い施設縮減最適化が可能となることが示唆された。
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