2021 Fiscal Year Research-status Report
山間地域自治体での地域コミュニティ維持に向けた公共公益施設の再編効果と課題の解明
Project/Area Number |
21K04395
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
細田 智久 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (40324496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 朗 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40625943)
小椋 弘佳 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50581732)
三島 幸子 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (50803277)
中園 眞人 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (60164208)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 山間地域自治体 / 持続可能な地域計画 / 地域コミュニティ維持 / 公共公益施設 / 生活利便施設 / 農林業の生産関連施 / 施設等の集約・再編過程 / 日常生活機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化が進む我国において中山間地域での人口減少は著しく、特に昭和・平成の市町村合併により広域化した山間地域自治体では、集落及び地域コミュニティの持続に向けた方策が模索されている。都市地域では、2002年「都市再生特別措置法」及び立地適正化計画によってコンパクト化が目指されている。一方の山間地域では、1970年以降の「過疎地域対策措置法」による各種事業への助成、2005年「地域再生法」及び地域再生計画による定住・農林業振興・特産品の開発といった地域の維持と活性化に向けた取組みが進められている。しかし、山間自治体全域を対象とした法制度や計画ガイドラインは未整備の段階にある。人口減少と厳しい自治体財政状況から、保育・小中学校・行政・医療福祉施設等を含む公共公益施設の集約と再編は避けられないが、再編が与える地域生活への影響も大きく、地域コミュニティ維持も視野に入れた「持続可能な地域計画」が求められる。 本研究では平成期の合併タイプの異なる3つの山間地域自治体(平成の町村合併を行わず公共公益施設の集約化を進める自治体:鳥取県日南町、平成の合併により対等合併し複数拠点の維持を目指す自治体:島根県奥出雲町、平成の合併により多数の町村が広域合併し市を形成した自治体:島根県雲南市)を主な対象に、中山間を含めた地域での少子高齢化・人口減少下における持続可能な地域計画の面から、公共公益施設の再編・集約に向けた取組みの効果と課題を実証的に検証し解明する。 研究初年度の2021年度は、3自治体の公共公益施設関連データ(自治体統計、固定資産台帳)の収集と自治体ヒアリング及び現地調査により、中心地域と旧村集落との地域区分や機能分担の歴史的経緯も考慮し、各施設の再編・整備状況を経年的に整理し、地域コミュニティ維持計画の展開過程を明らかにすることを目標に取り組み、十分な研究実績をあげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、先行して調査を継続実施している鳥取県日南町においては、公共公益施設関連データの収集や自治体ヒアリング、さらに公共公益施設の整備過程の整理に加えて、2年目2022年度に予定していた路線バス・主要な拠点的公共公益施設の稼働状況などを詳細に把握することができた。また、研究代表者は日南町が主催する「旧木下家住宅の活用に向けた事業提案コンペ」の審査委員会の委員を委嘱され、これを通じて研究で得られた知見を具体的な地域計画づくりに活かしている。 島根県奥出雲町においては、公共公益施設関連データの収集や自治体関係者へのヒアリングを実施すると共に、中心的な拠点地域(仁多・横田)とサブ拠点地域(亀嵩・鳥上を代表例として選出)における公共公益施設の整備過程について詳細に分析を行い、拠点地域とサブ拠点地域における公共公益施設面での機能分担の状況を明らかにした。 島根県雲南市においては、公共公益施設関連データの収集や自治体関係者へのヒアリングを実施すると共に、特に山間部の旧吉田村・旧掛合町の公共公益施設の整備過程について詳細に分析を行った。また、研究代表者は雲南市立地適正化計画策定委員会の副委員長を委嘱されており、これを通じて研究で得られた知見を具体的な地域計画づくりに活かしている。 さらに、上記の3自治体と隣接する地域(島根県松江市の中山間地域)や同種の山間地域自治体(島根県邑南町)の公共共益施設の運用に関する実証的な研究も実施することで、3自治体の特徴把握も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である2022年度は、3自治体における中心地域の公共公益施設・生活利便施設の配置及び稼働実態調査、路線・スクールバス等の交通利用実態調査、広報誌や議会記録等を整理し近年の政策過程・整備計画をまとめ、中心地域への集約・再編の効果を評価する。次いで、旧村集落毎の施設維持状況調査、人口動態調査や住民アンケート調査を実施し、集落での日常生活に必要な機能がどこまで維持されているかを明らかにする。 特に、鳥取県日南町において、子育て世帯を中心とするアンケート調査の実施・回収・集計分析を重点調査項目として実施予定であり、引き続き島根県奥出雲町への同様のアンケート調査の準備も進める予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナ対策下にあったため、共同研究者間での対面による研究会の実施が難しかった上、研究対象地域(中国地方の山間地域自治体)における継続的な訪問実態調査も難しい状態であり、研究会旅費及び調査旅費として見込んでいた金額を次年度に繰り越すこととなった。 2022年度にコロナ対策状況が好転した場合には、研究会旅費及び研究対象地域への調査旅費として使用する計画である。
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