2022 Fiscal Year Research-status Report
Expansion of Pre-Disaster Recovery Planning Theory through a Comparative Study of the U.S. and Japan
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21K04398
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市古 太郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (10318355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALY Elizabeth 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00636467)
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 事前復興 / Floodplain Management / ハザード適応土地利用計画 / 立地適正化計画 / 計画的市街地撤退 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,阪神・淡路大震災を直接的な契機として展開してきた我が国の「事前復興まちづくり」を,激甚・広域化する気象災害へ,平時の都市計画・まちづ くり手法へ拡張し,方法論として考究することをめざしている.研究2年度目の研究実績は主に次の3点となる.第1に大規模水害を対象とする事前復興の拡張に向けて,米国の気象(大型ハリケーン)・地震・津波に関する事前復興対策の文献調査を継続した.また2022/6月にコロンビア大学の研究員が東京を訪問し,東京の木密地域と江東低地区域のフィールドワークを共同で実施,また災害復興に関するセミナーを都立大学で開催し,知見を深めた.第2に発災11年経過の東日本大震災,発災6年経過の熊本地震の現地復興調査を実施し,事前復興にフィードバックすべき教訓を考察した.特に気仙沼鹿折まちづくり協議会が主催した「防災まち点検」のアクションリサーチを実施し,主に建造環境を対象とした復興まちづくり計画と事業進捗に対応する「まちづくり協議会」が,次への災害への備えに主体的に取り組む「地域防災活動」がもつ意義について分析考察を行った.気仙沼鹿折地区の調査は,2023年6月に国際学術会議で報告する予定である.第3に,これまで事前復興まちづくりの方法論開発に取り組んできた八王子市に加えて,町田市を対象に,地震災害に加えて気象災害を対象とした事前復興対策について,市役所と共同で研究開発を実施した.特に,東京区部と異なり「揺れと延焼」だけでなく,土砂災害,宅地地盤災害,洪水浸水の被害想定を重ね合わせ,都市復興基本方針の事前策定のための「市街地類型化」を行う方法論と学術研究上の位置づけについて検討を行い作業仮説を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画申請段階では,米国現地訪問調査も予定していたが,2022年度前半の段階では,新型コロナ感染症の影響が大きく,代表者・分担者の所属機関からの海外出張に関する規制と本務への影響を鑑み,文献調査とリモートによる現地米国研究者とのディスカッション,また日本に長期滞在研究されていたコロンビア大学の研究者との対面セミナーにより研究推進を図った. 一方で二大拡張を実装していくための国内を対象とした研究進捗については,2021年度の八王子市での検討と市職員とのアクションリサーチを踏まえ,2022年度は町田市での取組みを軌道に乗せることができた.また東日本,熊本の復興現地調査,東京都域を対象とした生活再建支援を担うNPO/NGO,市民団体とのアクションリサーチ(東京都災害ボランティアアクションプラン推進会議の活動)を前年に引き続いて実施し,概ね順調に進捗していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
米国との比較研究推進については,引き続きオンラインセミナーでのディスカッションやリモートインタビュー,また2023年6月に仙台で開催されるi-Rec conference2023で,成果発表を行い,海外の研究者とのディスカッションを行う予定である.町田市を対象とした研究では,2023年度に復興課題類型化のデータ解析を実施し,市役所との討議を踏まえて成果につなげる予定である.さらに都内の避難生活および生活回復支援に関する資源調査についても,東京都生活文化局,東京ボランティア市民活動センター(TVAC)との共同アクションリサーチで深めていく予定である.
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Causes of Carryover |
研究開始時点で想定していた海外現地調査について,すでに進捗状況等のところで述べてきたように,リモートインタビューと訪問研究者とのセミナーで実施する方針により研究成果到達を図ってきた.海外調査を代替したため次年度使用額が生じたが,今年度,国際会議での発表経費等に使用し,研究目的を達成するよう努める.
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