2023 Fiscal Year Research-status Report
Expansion of Pre-Disaster Recovery Planning Theory through a Comparative Study of the U.S. and Japan
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21K04398
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市古 太郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (10318355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALY Elizabeth 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00636467)
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 事前復興計画 / 洪水氾濫域の土地利用計画 / 立地適正化計画 / Disaster Resilience / 災害復興の長期的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,阪神・淡路大震災を直接的な契機として展開してきた我が国の「事前復興まちづくり」を,地震災害だけでなく,激甚・広域化する気象災害へ,平時の都市計画・まちづくり手法へ拡張し,方法論として考究することをめざしている.研究3年度目の研究実績は主に次の3点となる.第1に大規模水害を対象とする事前復興の拡張に向けて,米国での事前復興対策の文献調査を継続し,レビューを行い,2023/6月に仙台で開催されたi-Rec国際会議で,気仙沼鹿折地区の復興まちづくり計画と事業進捗に対応する「まちづくり協議会」が,次への災害への備えに主体的に取り組む「地域防災活動」の取組みを事例研究としつつ,復興から防災への移行に関する地域組織と地域の関係性の深まりについて,Disaster Resilience理論と絡めて報告した.またi-Recでは,事前復興計画に関連する海外の研究者も多数,参加されており,海外研究者との議論と意見交換を行うことができた.国際会議の様子を含めて都市計画学会誌365号に報告記事を執筆した. 第2に発災12年の東日本大震災の現地復興調査を実施し,事前復興にフィードバックすべき教訓を考察した.6月国際会議でも発表した気仙沼鹿折地区の取組みについて,11月に現地訪問調査とインタビュー調査を実施し,また,鹿折まちづくり協議会が主催した 「防災まち点検」へのアクションリサーチを実施した. 第3に,町田市を対象に,地震災害に加えて気象災害を対象とした事前復興対策について,市役所と共同で研究開発を実施した.地震・気象・土砂のハザードについて分析と復興課題としての整理を行った.町田市での今年度の成果は「町田市における事前都市復興の考え方~事前都市復興基本方針~」として2024年3月に公表に至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画申請段階では,米国現地訪問調査も予定していたが,6月の国際会議において,災害研究に関する業績が豊かで本研究テーマとも関連の深い研究者が来日されることにも鑑み,6月会議での意見交換にて,米国と日本の比較考察を深めていくこととした.また研究分担者である井内は,米国東海岸への訪問現地調査を実施し,その知見は研究チーム内で共有も行った. 一方で二大拡張を実装していくための国内を対象とした研究進捗については,2022年度の町田市での取組みによる到達点を踏まえて,社会実装型の研究として,町田市役所と緊密に連携し,さらに深く発展させることができた.さらに,東京都域を対象とした生活再建支援を担うNPO/NGO,市民団体とのアクションリサーチ(東京都災害ボランティアアクションプラン推進会議の活動)を前年に引き続いて実施し,概ね順調に進捗できているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
米国との比較研究推進については,引き続きオンラインセミナーでのディスカッションやリモートインタビューを続ける.また研究チームとしてアウトプットを出すためのディスカッションとセミナーを開催し,とりまとめを行っていく予定である.国内を対象とした二大実装という視点からは,町田市と八王子市を対象に,地震ハザードだけでなく気象ハザードを対象とした事前復興計画のあり方について,これまでの事前復興計画も参照しながら,とりまとめていく所存である. 加えて2024年1月に発生した能登半島地震について,東日本大大震災とも熊本地震とも異なる,複合的で複雑な復興課題が明らかになりつつある.これらは事前復興計画にもフィードバックされていくべき現場であり,適宜,能登半島地震被災地での取組みついても調査を行い,成果とりまとめに反映する予定である.
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Causes of Carryover |
研究開始時点で想定していた海外現地調査について,すでに進捗状況等のところで述べてきたように,リモートインタビューや国際学会大会への出席と意見交換で,研究成果到達を図ってきた.今年度はとりまとめの年度でもあり,新たな海外調査実施は避け,昨年度末から着手している能登半島地震での復興初動調査にも使用し,研究課題のより高い水準の知見を得ることを目指す.
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[Book] 災害復興事典2023
Author(s)
日本災害復興学会
Total Pages
308
Publisher
朝倉書店
ISBN
978-4-254-50036-3
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