2022 Fiscal Year Research-status Report
集約型都市構造の構築に向けた都市計画関連諸制度の運用に関する研究
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21K04400
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
星 卓志 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (90726936)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 集約型都市構造 / 立地適正化計画 / 都市づくり理念 / 土地利用計画制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
札幌市の都市基本計画とその実現策としての土地利用計画制度の運用について,戦後から札幌総合都市計画(1958)を経て今日に至る状況を通観した論文を日本建築学会計画系論文集に発表した。この中では,札幌市は札幌総合都市計画以来,総合計画を都市計画の上位計画とし,累次の変更においても一貫した都市づくり目標を維持し,法定都市計画もそれに即して見直しを行っており,その結果,目標としてきた都市構造が実現していることを明らかにした。関連して,用途地域の指定意図を詳細に把握したうえで,建築物の立地動向を詳細に調査分析し,それぞれの用途地域の指定が都市構造を誘導する効果を挙げていることを明らかにした。また,札幌市住区整備基本計画について,その成立経緯,運用,市街地形成実態について詳細に調査分析した論文を日本建築学会計画系論文集に投稿し,採用となった(2023年5月に掲載予定)。この中で,当計画を半世紀に渡り運用してきた札幌市の市街化区域においては,スプロール状の開発区域はほとんど無く,道路,公園,学校といった基幹的施設が確保された計画的市街地が形成されたことを明らかにした。加えて,札幌市の人口減少傾向にある郊外市街地において,持続可能性の確保の一旦を担う地域コミュニティ組織である町内会が,どのように組織化され活動を展開しているかについて把握した。さらに,2021及び2022年度において札幌を対象に明らかにした事柄について,横浜,名古屋,神戸,福岡について比較研究を行うべく,各都市の関連資料,データの収集を行った。 2021年度に明らかにした次の課題について、建築学会にて論文を発表した。 ・札幌及び福岡の都市づくりの理念の一貫性と実現策に関する史的研究 ・札幌市郊外住宅地における市街化の動向と更新実態に関する研究 ・地方中規模都市における中心市街地等の状況変化と市街地人口密度変化等との関係性に関する研究
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に着手した段階で設定した年次計画に基づき,着実に進捗している。2022年度は,研究実績の概要に記載のとおりの成果を挙げることができたが,その主な理由は,研究補助員によるデータ作成作業が着実に実施できたこと,関係行政機関からの資料提供が十全に行われたこと,研究室所属の一部の卒論生,修論生が,研究テーマとして本研究課題の一部を構成するものを設定したことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要にも記したとおり,本研究課題は,当初の予定どおり着実に進捗している。このため,当初設定の研究計画を今度とも着実に遂行できるものと想定している。具体的には,2023年度において,次の研究課題に取組む予定である。 1 大都市(横浜市,名古屋市,神戸市,福岡市)の都市づくり理念の一貫性に関する研究→各都市の総合計画と実施計画,実現化策の変遷 2 横浜市の市街化調整区域における住宅地形成に関する研究→当初区域区分以降の都市計画的意思と制度運用、市街地実態の変遷 3 札幌市における社会経済背景に対応した土地利用計画制度運用の経緯に関する研究についての論文投稿→市街地変化実態(建築物の立地動向)からみた土地利用計画制度の運用効果(用途地域等の見直しとその後の建築動向) 4 札幌市郊外住宅地における町内会活動に関する研究についての論文投稿→町内会の組織化経緯と活動展開の動向
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Causes of Carryover |
建築学会大会に向け投稿した論文発表のため出張を予定していたが、当該発表会がオンライにとなったため支出しなかった。 次年度においては、本研究課題の最終年度となり、研究成果のとりまとめ作業のための研究補助者への謝金に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)