2022 Fiscal Year Research-status Report
BIMを活用した住環境配慮型応急仮設住宅の自動配置・設計と供用迅速化に関する研究
Project/Area Number |
21K04415
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大西 康伸 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (20381006)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プレハブ / コミュニティ / 自動設計 / 最適化 / 震災 / 遺伝的アルゴリズム / 点群 / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
BIM及び最新の情報技術を活用し、プレハブ応急仮設住宅(以下、仮設住宅)の着工までの期間を短縮し、加えて仮設住宅団地内での住環境を向上させる配置案を作成する、一連の自動設計システムを開発すること本研究の目的とする。 本研究の第二段階として、令和4年度は前年度に開発した自動設計システムの実践的評価及び住環境改善型設計システムへの改良を行った。具体的な取り組みを以下に示す。 1)前年度システムの評価:プレ協の協力により、机上訓練において前年度に開発した自動設計システムの自治体による評価を行った。前年度開発プログラムを用いることで、a. 自治体担当者のまさに目の前で要望を聞きながら仮設住宅の配置案が作成可能なこと、b. リモート会議システムを併用することで遠隔での配置計画が可能になること、が明らかとなった。以上より、配置案承認までの期間が日単位で短縮できる可能性を示した。 2)配置案の自動評価プログラムの開発:配置案を住環境改善に関する観点(ここでは特にコミュニティの形成)から格付けする仕組みを提案し、プログラムにより配置案を自動評価するプログラムを開発した。 3)住環境改善型設計システムの開発:良好なコミュニティの形成や物理的環境の向上に関する既往の研究成果を調査した。その結果(特に災害復興住宅の配置レイアウト事例調査)に基づき、住環境を改善する自動設計手法を検討し、前年度開発システムを改良することで検討した自動設計手法を実装した。具体的には、従来横一列に並んでいた住棟ユニット内の住戸や住棟ユニットそのものを雁行もしくは回転させることで、豊かな住環境を創出することを企図した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は前年度開発した自動設計システムの評価と住環境改善型設計システムへの改良を目的としていた。 自動設計システムの評価については、机上訓練という仮想的な場ではあるが、可能である最大限の評価を行った。 一方、住環境改善型設計システムへの改良という目的に関しては、それを達成できたものの、駐車場の自動配置と一体化したシステムになっていない点、少しでも多く整備する必要のある仮設住宅の役割と住環境の向上の両立が難しく未だバランスのいい解決が見いだせていない点、の二つの問題点があり、令和5年度の解決が望まれる。 また、今年度もクラウド情報共有システムの開発は手つかずとなった。今後本研究に協力可能な技術職員を学内で探し、システム開発の支援を得ることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の通り研究を進める。 1)住環境改善型計画システムの改良:住戸及び駐車場の両方を同時に最適配置できる住環境改善型設計システムへと改良する。また、住棟ユニットのデザインの自由度の向上及び複数の配置候補案の自動提示により、少しでも多く整備する必要のある仮設住宅の役割と住環境の向上の両立を目指す。 2)住環境改善型計画システムの評価:プレ協の協力を得て、実験的環境下での住環境改善設計システムを評価する。協議、提案、承認に要した時間や住戸(型の比率を含む)・駐車場の数、住環境について評価する。最後に、課題と展望を考察し、研究の取りまとめを行う。 3)情報共有システムの設計・開発:被災状況や建設候補地に関する情報、配置案、設計案をクラウド上に一元管理し、ウェブブラウザ上での協議や承認を支援するシステムを開発する。
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Causes of Carryover |
令和4年度は引き続きプログラム開発の支援予定だった技術職員の退職に伴い、応急仮設住宅団地情報共有システムの開発が十分に進まなかった。そのため、予算の10万程度を翌年度に繰り越すこととなった。 当該システムの開発に令和5年度以降に取り組むことから、そこで繰り越した予算を使用する予定である。
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