2022 Fiscal Year Research-status Report
北京旧城における大雑院の居住環境の形成プロセスの解明とその持続的改修設計手法
Project/Area Number |
21K04418
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
川井 操 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (10721962)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 北京 / 四合院 / 大雑院 / 土地所有 / 棚戸区 / 城中村 / インフォーマルエリア / 雑院改修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,北京旧城に焦点を当て,臨地調査をもとにして「歴史文化保護区・歴史風貌協調区」における四合院の「大雑院」化の形成プロセス,居住環境の実態とその変容,その改修設計手法を体系的に明らかにする。さらに「大雑院」を重層的な都市建築の履歴として新たに評価し、居住環境の改善を目指した持続的改修手法を提示することを目的とする。 2022年度では、実測した21物件の、家賃、平面類型、構造、所有形態、建築面積を明らかにした。収集した資料を元にして、雑院の平面類型化をおこなった。雑院の主な問題点として、居住環境問題(採光と通風)、乱雑化した外観、構造の安全性が挙げられる。また、政府は2014年から雑院の整備方針として、増築部の撤去を掲げている。調査結果によると、増築部分ではキッチン、トイレ、浴室などの水回りの機能を持たせていることがわかった。これは、家族が必要とする水回り機能を増設するのに増築部に設けることが簡易であるためである。もし撤去されてしまうと各住戸の機能不足が懸念される。 以上の分析から、実在する雑院を対象にして、課題となった増築部の設計方針を以下のようにした。 1. 母屋と近隣への採光、通風の確保、閉塞感の解消のために、増築部の高さを2.1m以下に抑える。2. 取り壊される可能性のある増築部を撤去して屋外空間とする。3. 景観改善のために、増築部の材料や構法を統一化する。4. 母屋の構造補強となるもの。5. 簡易で応用のできる作り方かつ低コストで実現できること
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響によって渡航や現地調査が困難であったが、カウンターパートである松本大輔氏の協力のもとで文献調査、雑院の現地調査、設計計画を順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、現地カウンターパートである松本大輔氏と連携して、雑院に関する現地調査・文献収集・設計計画を進めていく。 既に設計対象となる雑院の工事を進めているが、下水道の処理などインフラ整備に課題が生じているため、新たな解決策を講じる必要がある。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、当初予定した現地調査の回数が減ったために次年度使用額が生じた。
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