2022 Fiscal Year Research-status Report
Rationality of the traditional dwelling system of townhouses with Gangi for snow removal, street market and city festival
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21K04432
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
黒野 弘靖 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80221951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雁木 / 城下町 / 湊町 / 街路村 / 定期市 / 祭礼 / 雪処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度当初に予定した「非日常の生活場面として湊町〈直江津〉の夏季例祭時の居住システムの把握」について、雁木町家が通りに面する湊町〈直江津〉安国寺地区と、町家が歩道やアーケードを介して通りに面する曙地区の街区を対象として、雁木町家が通りの両側に連続する街区の連続平面図と街路断面図を作成した。感染対策の一環として夏季祭礼時の通りの神輿巡幸が中止となったため、運営者への聞き取りから、町家・雁木・通りの場所と住人の位置を平面図と断面図に記入した。また、氏子町内の班と近隣社会組織との対応関係を把握した。曙地区においては、片側の雁木がアーケード化され歩道が整備された街区と雁木町家が通りの両側に連続する街区の連続平面図と街路断面図を作成した。 城下町〈高田〉大町4丁目で開催される四九定期市について、夏季・秋季・冬季の店棚分布を調査した。6月、7月、8月、10月、11月、12月、1月、2月、3月の10度、定期市開催地区全域において店棚の形状、分布、種類、配置、出店者向き、来訪者経路、時間変化を記録した。季節を通して維持される店棚配置の特徴として以下の5点を把握した。① 猛暑・吹雪を問わず出店者は戸別の雁木に来訪者通路を確保するように店棚を配置していた、②春季や冬季に全体の店棚数が減少しても雁木への出店数は維持されていた、③常連の出店者は同位置に出店していた、④全体の店棚数が減少した際に空いた雁木へ新たな出店者が店棚を構え、雁木通り沿い店棚の連続は保たれていた、⑤積雪期には通り側から雁木側へ軒先の堆雪を堀り、雁木通りとつながるよう店棚を構えていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「非日常の生活場面として湊町〈直江津〉の夏季例祭時の居住システムの把握」のうち、当初予定した、神輿が停止する1軒に注目し、迎え・礼拝・送りの3場面における町内住人と神輿の位置と向きを、時間経過に沿い断面図と平面図のセットを記録する現地調査は、通りの御輿巡幸の中止により、実施できなかった。 一方、「定期市開催時の戸別の雁木に対応した出店者のしつらえと通りにおける共用空間」については、城下町高田で通年開催される定期市において、四九市を対象として、6月、7月、8月、10月、11月、12月、1月、2月、3月の10度、定期市開催地区全域において店棚の形状、分布、種類、配置、出店者向き、来訪者経路、時間変化を記録できた。各月ごとの出店者の位置と商品についても記録できた。 さらに「1950年代の高田市住宅調査資料による区画整理事業以前の店棚の位置と向き」については、二七市の店棚の実測データと比較し、雁木軒先に店棚が入り込み通り側を向いてテントを組む方式が継続していることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
「非日常の生活場面として湊町〈直江津〉の夏季例祭時の居住システムの把握」について、曙地区と裏砂山地区において、神輿が停止する1軒の雁木町家に注目し、迎え・礼拝・送りの3場面における町内住人と神輿の位置と向きを、時間経過に沿い断面図と平面図のセットに記録する。雁木のしつらえと住人利用から、神輿の迎え・送りでは近隣住人の場となり、各戸の礼拝時には私領域となり、各戸の自立を町内住人が相互承認する機会となっていること、神輿移動に伴う機会と場所の連続的変化の過程を把握する。これらの機会と場所の成立と、雁木の道路および隣戸側への開放性との関係を把握する。また、曙地区において、私有地である雁木と公有地であるアーケードにおいて、雁木へのしつらえと町内住人の行動がどのように異なるかを3場面ごとに記録する。 城下町高田の四九市について、令和3年度のデータと併せ、通年での雁木と定期市との関係の変化とその要因を把握する。上越地域において、妙高市朝日町通りの六十市と直江津旧新橋区の三八市について店棚配置と出店者位置を記録する。 通り中央に水路を持ち、農家と商家の雁木町家が向かい合う街路村稲田の雪処理システムを把握する。水路左岸の農家を営む雁木町家に生まれ育った住人へ雪処理手順を聞き取り、水利組合の保管する用水改修の従前図から、通り断面図と連続平面図を復原し、両側雁木町家の自立したはらきかけの重なり方を記録する。
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Causes of Carryover |
「非日常の生活場面として湊町〈直江津〉の夏季例祭時の居住システムの把握」のうち、神輿が停止する1軒に注目し、迎え・礼拝・送りの3場面における町内住人の位置と向きを記録し、時代変化について80代住人への聞き取ることは、新型コロナウイルスの感染状況が好転しなかったため、実施できなかった。 このため調査旅費と謝金を次年度に繰り越した。本年度は、モバイル対応のデータ通信機器を購入し、調査資料の補足と聞き取りの確認をリアルタイムで実施する予定とした。連携研究者とのオンラインによる調査資料の補足と研究打合せをモバイル対応のデータ通信機器により実施する計画とした。
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Research Products
(2 results)