2021 Fiscal Year Research-status Report
地方都市の地方創生を誘導するトランジットモール実現に向けた実証的研究
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21K04433
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
本田 豊 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (00823361)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トランジットモール / 中心市街地の活性化 / 交通社会実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は研究1年目であり、日本でこれまでに数多く社会実験として実施されてきたトランジットモールに関する事例調査、及びトランジットモールに関する研究のサーベイを実施してきた。 トランジットモールについては、日本でもその効果が注目され、1988年に広く紹介されるとともに、1990年代からはその導入可能性に関する研究や計画に関する基礎的研究が行われた。日本において都市再生、地域再生を実現するためには、公共交通と歩行者を優先するトランジットモールの実現が主要課題になってきたことから、国は2003年あたりから全国で多くの交通社会実験に対する助成を行い、本格実施に向けた問題点を見極め、政策効果を事前に検証する取り組みを重点的に行ったが、残念ながら、全国の都市においてトランジットモールの導入を目指して交通社会実験は数多く行われてきたものの、実験だけで終わってしまった箇所が大半という状況であり、中心市街地の活性化につながる本格的なトランジットモールが実現していないことが改めて確認された。 あわせて、国内の7都市を対象に、トランジットモール整備が関連すると考えられる立地適正化計画、中心市街地活性化計画、地域公共交通網形成計画について文献調査を行ったが、那覇市の計画では、トランジットモールがすべての計画に反映され、社会実験時から本格実施に移行後もトランジットモールを拡充する方向性が示されているものの、大半の都市ではトランジットモールが諸計画に位置づけられておらず、中心市街地活性化や公共交通活性化との関係性は必ずしも強くないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、国内の7都市を対象に、トランジットモールの計画や実施に関する文献調査を行うとともに、富山市、福井市、姫路市においては、現地調査あるいはヒアリングを実施した。 一方で、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、国内においても「緊急事態宣言」あるいは「まん延防止等重点措置」が適用される地域が多く、地方自治体等へのヒアリングができない期間が長く続き、当初の想定どおりに現況調査が実施できなかったため、限られた文献調査で把握できる範囲内で研究を進めようとした。その点において、トランジットモールの整備実現に向けた実務的課題については、まだ十分に整理できていない状況にあることから、2021年度は当初の計画よりやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、引き続き新型コロナウィルス感染症の影響で実施できなかった国内事例に関するヒアリング調査結果等を行うとともに、必要に応じて再度ヒアリング調査を実施するとともに、ドイツやフランスの海外事例調査を実施し、トランジットモール整備につながる資料収集とその分析を踏まえて、日本での実現に向けて、どのような形で社会実験を実施し本格実施に結び付けるのかについて検討したいと考えているが、今後の新型コロナウィルス感染症が改善の有無によっては、進捗への影響が考えられるため、研究の実施方法の工夫を検討しながら進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、国内において「緊急事態宣言」あるいは「まん延防止等重点措置」が適用される地域が多く、地方自治体等へのヒアリングができない期間が長く続き、当初の想定どおりに現地調査が実施できなかったため、旅費の支出が大幅に減少し、他の費目も連動して減少した。 2022年度は、実施できなかった現地調査を追加して実施し、旅費及び他の費目として使用する予定である。
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