2023 Fiscal Year Research-status Report
地方都市の地方創生を誘導するトランジットモール実現に向けた実証的研究
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21K04433
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
本田 豊 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (00823361)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トランジットモール / 中心市街地の活性化 / 交通社会実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は研究3年目であるが、1~2年目に引き続き、日本でこれまでに数多く社会実験として実施されてきたトランジットモールに関する国内事例に関する調査を実施し、あわせてドイツやフランス、アメリカなどの海外事例についても文献調査やヒアリング調査を実施した。 トランジットモールについては、日本の都市においては、全国的にトランジットモールの導入を目指して交通社会実験は数多く行われてきた。金沢市や前橋市では、歩行者が極めて少ないことから、都市空間のにぎわいが創出されておらず、那覇市では、トランジットモールではバスの便数を普段に比べて大幅に減らして運行するなど、本来のトランジットモールの機能である公共交通による歩行者の利便性が確保されているとは言えないことが明らかになった。また、金沢市では、トランジットモールではなく、マルシェの開催に合わせた歩行者専用道路とした場合の方がにぎわい創出に繋がるという新たな発見があった。 歩行者が道路空間を自由に通行できるトランジットモールの本格実施を実現するために、交通規制に対する交通管理者や交通事業者の理解を得ることに非常に苦労している実態が改めて明らかになった一方で、富山市の事例では、社会実験を長く続けることにより、徐々に交通規制に対する交通管理者の理解が得られるようになり、交通規制の内容が緩くなっていくことが確認された。 これまでトランジットモールに取り組んできたほとんどの都市において、立地適正化計画や地域公共交通計画にトランジットモールが位置づけられておらず、トランジットモールの位置づけが強くないことが明らかになった。 トランジットモールの実施主体については、那覇市や富山市の事例から、社会実験中は地方自治体が主体となって実施していても、主体が地元の商店街組合や新聞社などの民間団体に移行していくことが本格実施への道に繋がる可能性が考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、国内の7都市を対象に、トランジットモールの計画や実施に関する文献調査を行うとともに、富山市、福井市、姫路市において、現地調査・ヒアリング調査を実施した。2022年度は、国内の都市を対象に、継続・追加してトランジットモールに関する文献調査を行うとともに、富山市、岐阜市、金沢市、那覇市において、現地調査あるいはヒアリング調査を実施した。2023年度は、国内外のトランジットモールについて類型化すべく、再度富山市、金沢市、岐阜市、宇都宮市、那覇市において現地調査あるいはヒアリング調査を実施した。 一方で、2021~2022年度にかけては新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、国内外の調査が予定どおりに実施できなかったため、限られた文献調査で把握できる範囲でしか研究を進めることができなかった。また、2022年度は学内で学科長の役務を担当したこと、2023年度は同じ学科の複数の教員が退職したことに伴う大幅な新規の授業担当の対応が必要となったことにより、いずれも予期せぬ膨大な学内業務量が増加したことから、研究に携わる時間が大幅に制限されてしまい、想定していたような進捗が望めなくなった。 したがって、トランジットモールの整備実現に向けた実務的課題の整理、トランジットモールの本格実施に結びつける方策の考察については、まだ十分な作業にかかれていない状況にあることから、2021~2023年度は当初の計画よりやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、研究期間の繰り越しをすることにより、これまでの国内外のトランジットモール整備につながる資料分析を踏まえて、日本におけるトランジットモールの本格的な実現に向けて、どのような形で進めていくのかについて検討するなど、国内外のトランジットモールについて類型化したうえで、研究の実施方法の工夫や内容の変更も視野に入れながら研究の進捗を図りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021~2022年度は新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、国内及び海外において「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が適用される地域や国が多く、国内外の都市への調査やヒアリングが実施できない期間が長く続き、さらに2022年度は新たに学科長就任後の学内業務の過多が原因で、2023年度は同じ学科の複数人の教員の退職に伴う新規授業の担当に伴う作業過多が原因で、当初の予定どおりに現地調査等を進めることができなかったため、旅費やその他の費目の支出が大幅に減少し、他の費目も連動して減少することとなった。 2024年度は、これまでの研究結果の考察、とりまとめ等を実施するなど、当初の予定より遅れている研究の進捗を図ることにより、旅費や他の作業に伴う費目を支出していく予定としている。
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