2021 Fiscal Year Research-status Report
Continuous Reconstruction Wooden Housing Plan Considering Hazard Area in Residential Instruction Area
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21K04435
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
浅野 聡 三重大学, 工学研究科, 教授 (70231892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 立地適正化計画 / 居住誘導区域 / 震災復興 / 防災まちづくり / 復興まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、居住誘導区域における災害ハザードエリアの除外及び包含状況ついて、三重県内で立地適正化計画を策定済みの市町に限定せずに、三重県と同様に南海トラフ巨大地震による被害が想定される東海4県で同計画を策定済みの36市町を対象にして、居住誘導区域の設定における災害ハザードエリアの取り扱いの位置づけについて調査分析し、同エリアの取り扱いが異なる現状を把握するとともに、それを生み出す要因と課題の分析に重点的に取り組んだ。主な研究成果は、以下の通りである。 第一に、市町村が立地適正化計画を策定する際の指針として国から示されているものに都市計画運用指針があり、この中に居住誘導区域における災害ハザードエリアの取り扱いに関して記載されていること。具体的には災害ハザードエリアの除外に関する方針として、除外に対する厳格さの程度の違いから、居住誘導区域に含まないこととすべき区域(完全除外区域)、原則として居住誘導区域に含まないこととすべき区域(原則除外区域)、災害リスク等を総合的に考案して居住を誘導することが適当ではないと判断される場合は原則として居住誘導区域に含まないこととすべき区域(要検討区域)の3区域に大別できること。 第二に各市町の居住誘導区域における災害ハザードエリアの除外状況を調査した結果、完全除外区域では大半の市町が除外していたのに対し、必ずしも除外することが求められていない要検討区域では除外していない市町が多くみられ、原則除外区域では要検討区域よりは多くないものの除外していない市町がみられたこと。 第三に、災害ハザードエリアが除外されていない要因を分析した結果、都市計画運用指針における除外に関する方針の違いが市町の判断に影響を与えているとともに、災害の種類も影響を与えていると推測できること。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、居住誘導区域における災害ハザードエリアの除外及び包含状況、それを生み出している要因の把握と分析について、当初は三重県内で立地適正化計画を策定済みの市町のみを対象とする予定であったが、南海トラフ地震では広域に渡って甚大な被害が発生することを考慮して、東海4県の市町に調査対象を拡大した結果、ほぼ全ての行政担当者の調査協力を通じて有用なデータ収集と分析を行うことが出来た。この取り組みにより数多くの市町のデータを収集することが出来、その結果、客観性や汎用性を有する分析結果を得ることが出来た。 第二に、日本都市計画学会中部支部の地域再生まちづくり小委員会の委員として「立地適正化計画は災害とどう向き合うか?」と題したシンポジウムに参加し、令和2年の都市再生特別措置法の改正に伴い、立地適正化計画において災害ハザードエリアを除外するあるいはやむを得ず含む場合は被害の低減を図る措置をとることが求められていることをテーマに取り上げ、行政による現状の対応方針と今後の課題について検討することが出来た。パネリストとして倉敷市、久留米市等の行政担当者に参加して頂き、計画の改定と防災指針の作成に関する情報収集を行うことが出来た。 第三に、以上の研究成果をとりまとめて、関連学会や専門誌上において論文発表をすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、応急仮設住宅の建設候補地の選定の際の土地条件の現状と要因の把握、土地条件の見直しのための技術基準の検討、建設候補地の充足度評価を行うとともに、三重県の市町の担当者にヒアリング調査を実施し、居住誘導区域を中心とした震災復興の課題について把握する。 第二に、居住誘導区域における連続復興型木造住宅計画の基本フレームの検討の一環として、住区(学校区)を単位とした復興市街地の更新のあり方と居住誘導区域全体の復興のあり方について検討する。 第三に、居住誘導区域内で浸水被害が発生した大牟田市と須賀川市の居住誘導区域の見直し等に関する事例分析を行うとともに、基盤となる震災復興事業が概ね完了しつつある東北の被災地の震災復興事業の事例分析も行うこととし、対象地区における現地調査と行政担当者へのヒアリング調査を実施する。
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Causes of Carryover |
居住誘導区域内で浸水被害が発生した大牟田市と須賀川市の現地調査を予定していたが、コロナ禍で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されており三重県外の現地調査を十分に実施できなかったため、次年度に実施する予定である。また東北の被災地の震災復興事業が概ね完了を迎えつつあることから、今年度の調査結果を踏まえて、東北の被災地の現地調査を追加することも予定している。
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Research Products
(6 results)