2021 Fiscal Year Research-status Report
高経年マンションにおける「一棟再生」実施手法の開発
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21K04440
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
藤木 亮介 明海大学, 不動産学部, 准教授 (20875463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 学 明海大学, 不動産学部, 准教授 (30410856)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マンション再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は以下二点について研究を進めた。 一点目は、実在する杉並区の高経年マンションにおける、一棟再生に向けた実践的研究である。当マンションの管理組合では、2031年に一棟再生を行うことを目標に、2021年度から具体的な検討を進めている。建物の耐震化、1階ピロティの利活用、経営的管理の手法、資産価値の維持・向上、ならびに建物の再生について、2021年度は8回の会議を重ねており、藤木(研究代表者)、ならびに小杉(研究分担者)も当会議に参画している。この中で、まずは一棟再生の定義を明確にした。また、一棟再生の円滑な合意形成を踏まえた実施手順を提案し、その実行にむけた活動を行った。ここでの検討を踏まえ、日本マンション学会の学術誌であるマンション学第70号において、一棟再生の概念を提案した。また、これまでのプロセスを、2022年度日本建築学会大会学術講演会梗概としてまとめた。 二点目は、昭和50年に建築された高経年建築物の再生・利活用事例について、建物躯体の劣化状況を調査した。調査対象は、定期的な修繕が殆ど実施されていない建物であり、劣化状況は重度と言える。当該建物の外壁・外部天井には鉄筋爆裂(コンクリート躯体内の鉄筋が発錆し、コンクリートが剥落している箇所)が散見される。現状、適切な管理が行われているマンションで、ここまで劣化が進行することは稀と言える。しかし、近い将来、マンションが超高経年化した場合、あるいは区分所有者の高齢化と共に管理が弱体化し、適切な管理が滞ってしまった場合、マンションでも起こり得る状況として想定する必要がある。このような劣化が著しい建物の再生工事手法を検討することを目的に、当該建物の劣化状況の把握、ならびに改修工事数量の把握などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウイルスの蔓延により、様々な影響が生じた。予定していた実践的研究は実行できたものの、実地調査やヒアリングなどは最小限のものに限定した。 2022年度は、マンション改修工事施工会社やマンション改修設計事務所へのヒアリングを予定しているが、2022年度もさらなる実地調査を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、マンション改修工事施工会社、ならびにマンション改修設計事務所などにヒアリングを実施し、効果的、合理的、かつ低コストの再生工事手法を検討・提案する予定である。特に、一棟再生には断熱性・気密性・遮音性など、基礎的な住環境向上工事が欠かせない。したがって、マンションにおける断熱改修等の実施実績を持つ設計事務所や施工会社にヒアリングを行ない、実態に即した再生工事手法を検討していく。 また、2021年度から行っている、杉並区の高経年マンションにおける一棟再生に向けた実践的研究を継続して実施する。2022年度は、一棟再生に向けた費用の捻出方法を明確にするとともに、耐震改修工事、ならびに、それに伴う1階ピロティの利活用の実行プロセスを検証していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、当初計画していた実地調査が十分にできなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。 令和4年度に繰り越した額は、令和3年度に不十分であった実地調査、ならびに令和4年度に予定する研究項目の実行の為、令和4年度交付額と併せて執行する予定である。
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Research Products
(2 results)