2021 Fiscal Year Research-status Report
医療と介護の連携・地域包括ケアのもとでのウェルネス・コミュニティ拠点に関する研究
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21K04441
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
村川 真紀 東京電機大学, 未来科学部, 研究員 (90882019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 あすか 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (80434710)
古賀 政好 東京電機大学, 未来科学部, 研究員 (20751225)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウェルネス・コミュニティ / 地域交流 / コミュニティ拠点 / 健康支援 / 地域密着 / 多世代交流 / 居場所 / 運営・利用実態 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域住民の心身の健康や健全な社会的関係性の醸成に寄与する「ウェルネス・コミュニティ拠点」の活動・取り組みとその拠点の整理の全貌を整理する観点から,①利用者や立地が異なる4事例での,運営実態,利用者の特徴,活動や滞在の実態を把握した。このうち2事例で,②利用様態の詳細を調べて比較し,想定する利用者属性や支援内容と建築的工夫の対応関係についての検討を行った。また,これらより,③今後の事例収集及び類型化のための指標を得た。さらに,④地方都市郊外で医療生協の診療所の建替えに伴い,医療福祉複合施設化と地域交流スペースが計画される事例での組合員参加型ワークショップを通して,地域の医療福祉と交流の拠点が作られていく過程での参加者の評価や意識を明らかにした。 ①地域への浸透可能性の向上に,固定的な拠点をもつ重要性が示唆された。また,地方都市ほど,利用者層や属性を限定しない場が多い傾向をもつ可能性が考えられる。 ②利用者や立地の差異に関わらず,複数用途での共存に対し柔軟に対応できる空間づくりの重要性とともに,特に主たる利用者空間に対し臨機応変に分節・一体利用できる間仕切りの仕様などが空間を多機能・多用途に活用できる要素として挙げられた。 ③[利用を想定している年齢層/提供している活動内容/開設の頻度/運営主体・運営者の属性/運営資金]などの運営に関する項目,[高齢化率/教育施設数/拠点の二次医療圏域の医療施設・介護施設数]など立地地域に関する項目が指標として挙げられた。 ④スタッフ視点では使いやすさや印象について,利用者の視点では場所の素材など,仕上げの材料といった具体的な事物に意識が向いていることが特徴的であった。 今後は今後の事例収集及び類型化をもとに,さらに提供サービスや立地特性が異なる事例の調査により,各地で広がる「ウェルネス・コミュニティ拠点」の運営・利用実態の把握を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスによる影響で見学先事例や対象地域を関東圏としたため,当初の予定から調査対象事例が限定的となったが,2021年度に実施した4件の事例調査から,各事例で利用者属性や地域特性を踏まえた利用ニーズを捉えて柔軟な運営や空間づくりを行っている実態が把握できた。加えて,運営者が独自にもつ経歴や人脈などを生かしたサービス提供実態が明らかになり,類型化における重要な指標の一つとして見出された。このように,地域は限定的であったものの,事前調査により,今後の事例収集によるデータベース作成の基盤となる事例収集,類型化のための指標が得られている。なお,これまでの調査・分析結果については,国内外の学会において随時投稿・公開されており,研究成果の公開や社会還元という観点からも順調に進展している。また,研究協力者とのディスカッションなどを通して確実な検証を重ねており,研究実施のスピードならびに質ともに,順調に推移していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の通り進展することを予定している。 ①ウェルネス・コミュニティの概念,定義を説明するキーワードを整理する。 ②整理したキーワードをもとに,全国の事例を収集し,2021年度の成果で得られた[利用を想定している年齢層/提供している活動内容/開設の頻度/運営主体・運営者の属性/運営資金]などの運営に関する項目,[高齢化率/教育施設数/拠点の二次医療圏域の医療施設・介護施設数]など立地地域に関する項目などにより,類型化を行い,概況を整理する。 ③新型コロナウイルス感染症拡大の状況等を勘案しながら,調査対象事例を全国に拡大し,サンプルを増やして,収集した事例の地域への効果と建築形態のあり方の違いの関係,ウェルネス・コミュニティ拠点の利用者特性やニーズから求められる空間のあり方などについて分析と検証を行う。
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Causes of Carryover |
■次年度使用額が生じた理由 2021年度は新型コロナウイルスの影響により,本来調査予定であった全国各地の拠点への見学調査が実施できなかったため,その旅費などの費用が使用できなかった。 ■使用計画 次年度へ持ち越した助成金は上述した実地調査のための旅費・人件費等で使用し,翌年度分として請求した助成金は当初の予定通り使用する。
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Research Products
(5 results)